あの空を探して Opening's the KAZUMI 一人一人に得意・不得意があるように、当然私にも得意・不得意……は、無かった。 今のところ、ね。 自分で言うのもアレだけど、やることなすこと、一日二日でこなしていた。 それはもう、間近に迫った七月に17歳を迎える今でさえ、驚く程に。 自分にできない事は無いのか、と。 具体的な例を挙げるなら、例えばスポーツは万能。例えば勉学も上の中(つまり上級クラスってこと)。 人間関係だって、誰とも上手くやれている。人望としても、人脈としても、ある程度の自信はある。 学校では何時の時だって、一人じゃない。何時の時だって、誰かと居る。 正直、自分でも恐い位、なにもかもが上手くいっていた。 ただ、そんな……言えば自信過剰にも思われそうな程に、自慢ができてしまう私にも……一人一人に得意・不得意があるように、悩んでいる事があった。 故に……なにもかもが得意が故に、孤独だった。 孤高と言えば聞こえが良いかもしれないけれど、私はそんな言い方はできない。孤独を良しとしていないからだ。 私について来られる人間が、私に心から歩み寄る人間が、居ないのだ。様々な物事をそつなくこなす私に皆、何となく距離をとっているの。 感じた事無い? そういう感覚。 物凄く得意な事を人前…もっと言えば、友達の前でした時。何となく、向こうが引けてるって感じた事、無い? 自分の領域は別世界だと認識されている感覚。それが、私を孤独にさせていた。孤高にさせていた。 そこまで来た私が今更、人前で弱音等吐ける訳が無く……。 結局、ひとりぼっちのままなのだ、今も尚。 そんな、何処か欠けてしまった私の日常に、ふと不思議な雪が舞い降りた。 放って置くと溶けてしまいそうなそれは、一つの夢を携えて、私の胸に舞い降りた。 それが、私の人生史上初の、夢に染まった奮闘記の始まりだった。 by KAZUMI TAKEUCHI [次へ#] |