お茶と鶯 縁側でボーッと桜を見つめる こんな時間が何よりも好きだ ふわりと抹茶の匂いがする 「童子切殿お茶でもどうだ?」 「鶯丸殿、ありがとうございます」 茶と茶請けがそっと置かれた 「こうしてまみえるのは、いつぶりでしょうかねぇー、」 「そうだな、大砲平と居たとき以来ではないか? 互いにここではじじいというものだな」 にこにこと静かに笑う鶯丸に同調するように ふふふと童子切からも笑いが漏れる 「あんなに小さな童が立派な鶯になったものだなぁ」 「む、昔の話はいいじゃないか」 懐かしむように目を細める童子切に慌てたようにいい募る鶯丸 「昔は可愛らしかったなぁ よく兄さま兄さまと後ろをついてきたものだ」 かぁっと頬を赤く染めた鶯丸にしてやったりの表情の童子切 「く、兄さまは意地が悪い」 悔しそうに呟く鶯丸にさらに笑みが深まる童子切だった 「正直に言うとなぁ、もう、 兄様と呼んで、くれないと思っていたんだ。」 俺の最後は鶯に失望されるような最後だったから 「……あぁ。 いつも凛として格好よかった兄様の最後は、人伝に聞いた、失望など、しないできるわけがないだろう。 大好きだったのだから」 桜と 抹茶と 鶯の笑顔が やけに眩しく感じられた [*前へ] |