[携帯モード] [URL送信]
小狐丸と童子切の涙
*語り部小狐丸

途中で会った鳴狐に童子切が起きたことを聞き及び

急ぎ童子切の部屋へと向かった


「童子切?」

布団の中の童子切の眼から涙が溢れていた

「泣いているのか?」

「な、く?小狐丸、泣くとは、なんだい?
俺は、病なのか?それとも、何処かおかしいのか??」

不安そうなその顔で

童子切は涙を知らぬのだと嘆いた


「童子切よ、今お前は何を思う?
悲しい、嬉しい、寂しい、恐ろしい、
この小狐丸に教えてくれ」


訳がわからぬまま

そなたに惹かれてしまった

訳がわからぬまま

いとおしいと感じてしまった

執着にも似たこのドロドロとした感情を

愛と呼んでいいものか


「ぁ、恐ろしいのだ、自分でも、よくわからないのだけどね、恐ろしい、弱い己が憎くさえ、感じてしまう。
きっと俺は、何も、、
足手まといに、なりたくはない、
捨てないでっ、俺は、刀だ、人ではない、なぜっ、なんで?俺はここに来ることを望んだのだろうっ、」


童子切のこぼしたそれは、
弱音
不安
悲しみ


そうか、そうか。

そうだったな

お前はずっとひとりぼっちであった。

ならば



「貴方はこの小狐丸に逢うために生まれてきたのだ。不安なら側にいよう貴方がわしを頼ってくれれば助けてやろうなぁ、
童子切」


甘言で誘惑し

己に堕ちればいい

そうして自分だけを頼りにしてくれればいい


愛しい童子切

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!