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 彰の通う私立紅瑛(こうえい)高等男子学校は、その名の通り男子校。

 女子のいないこの学校で、思春期真っ只中な男子生徒達が同性に擬似的恋愛感情を抱くことは珍しくない。


 既に彰の友達にも何組か男同士のカップルもいるし、実際に彰も何人かに告白されたこともあった。

 周りがどうだか知らないが、彰はれっきとした異性愛者で、同性には何の感情も動かない。

 故に彰は今までの告白は全て断ってきた。


 同性愛に偏見を持つ訳ではないのだか、その対象が自分に向けられるとなると話は別だ。


(俺は正真正銘、れっきとしたノンケだ)


 男同士なんて、考えられない。有り得ない。


(だって、そうだろ?)


 高校生くらいにもなると、恋愛には肉体的欲求も付いて来る。
 つまりは性欲な訳だが、性的欲求イコールセックスという概念が同性同士だと考えられない。


(え、だって男って入れるトコなくね? てか、入れんの? 入れるもんなの??)


 彰はその手のことについては全くの無知に等しく、異性同士での知識もあまりなかった。


 友達は多かったが、性経験は全くのゼロ。


 時々AV鑑賞会にも誘われたりはしたのだが、彰には刺激が強すぎて、あまり画面は見ることができず、結局経験値は増えることはなかった。


 何人か好きな女子はいたのだが、その全てが彼氏持ちで、略奪愛を仕掛けるという根性も情熱もなかったので、恋が実ることもなかった。


 恋愛に対して消極的、かつ淡白な草食系男子。

 彰は、恋愛というものにあまり興味もなく、年頃の青少年には珍しいタイプだった。


 彰は、改めてクラスを見渡してみる。

 見れば、人目を気にせず朝から甘いオーラ全開のカップルも何組かいた。

 小声で何か囁いていたり、甘ったるいじゃれあいをしていたりとそれぞれで、彰は思わず溜め息を吐いてしまう。


 紅瑛に入学してから今まで、慣れてきたつもりだったが、未だにどうも違和感が拭えていなかったらしい。


(何であんなことできんのかね……)


 ヘテロセクシュアルでピュアな彰には、到底理解ができなかった。











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