スラムダンク
3 洋→←花
久しぶりに入った花道の家は相変わらずで。カップラーメンやらなんやらインスタントのものが多く食器棚の上に積み上げられていた。一室しかない部屋も洗濯物が無造作に散らばっている。ただ前来た時と違うのは机の上に開きっぱなしの英語の教材があること。
「汚ねぇけどまぁ上がって!」
「本当に汚いな…。」
「さぁ!洋平コレでも飲んで手伝ってくれ!」
渡されたのはお茶とかでなく冷たい缶ビールで、俺はお礼を言って喉が渇いてたため一気に飲み干した。花道がガサゴソと押し入れに頭まで入れて何かを探している
「何探してんだよ」
「んー?…あった!あった!」
花道が持ってもデカイかばんをよっこいせなんて言いながら出してきた。
「それに入れるの?」
「そうそう!…何いれようかなぁ」
なんて話しながら一つ一つかばんに入れているといつの間にか外はさっきよりずっと深い黒みを帯びていて代わりに星がキラキラと輝きだしている
「んー。あとこれもっと!見ろ洋平!これ中2の時初めて5人で撮ったやつ」
「うわっ!懐かしい!まだ残してんの?お前幼いね。おっ。懐かしのリーゼント花道くんだ」
「洋平もだろ!…捨てんのやでさ。アメリカにも持ってく。」
「まじ?そんなもんまで持ってってたらこの鞄に入り切らないぞ」
「そんなもんなんかじゃねーよ」
いきなり落ち着いた声で話す花道を反射的に見てしまう。花道も俺を見ていて視線が混じりあう。テレビもつけていないこの部屋は一瞬にして静まり返った
「なに?」
「俺…本当に洋平達に世話になったから。バスケも最高に楽しいけど洋平達と馬鹿やってる時はもっと楽しかった。そんで…」
「なんだよいきなり。別れの言葉はまだとっときなさい。続きやるぞ」
「聞いてくれ洋平!…俺本当に洋平達に感謝してんだ!」
「わかったよ。俺だってお前といれて楽しかったし感謝だってしてるよ。本当に。」
「ずっと言わないでおこうって思ってた。でもやっぱ言いたい!だから聞いて!」
嬉しい言葉だから黙って聞くもののはずなのに花道からのは嬉しい言葉だからこそ聞きたくないなんて変な矛盾。今にも泣くんじゃないと不安な花道の続きを待っていると俯き出した。…やっぱ泣くのか?名前を呼んで声をかけようとするといきなり視界が傾き体が床に落ちる。突然の事で反応ができなかった
「はっ花道…?」
心臓がうるさい。びっくりしたからなんかだけじゃなくて。俺より一回りは裕にデカイこいつに今抱き着かれている。背中に手まで回されて
「よぉへ…俺アメリカ行きが決まってから色々考えたんだ。…いつも洋平が俺の側に居てくれたこと。助けてくれたこと。笑ってくれたこと。したら…離れたくなくなって。でも無理で。そんで気付いたんだ…」
声がかすれている花道はやっぱり泣いているんだろう。花道の考えていることが分からなくてとりあえず俺も背中に手をおいて小さい子を寝かしつける様にゆっくりポンポンと叩く。
「…うん」
「もちろん大楠達や晴子さんや色んなやつと別れるのは嫌だけど…なんで洋平だけこんなにも嫌だって思うのか。」
まえ*つぎ#
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