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小説
自己チュー恋愛論(紫←一壱)
 

空は快晴。今日は紛れも無い程のいい天気でこんな日には洗濯をするか掃除をするか買い物に行くかが常なのに、今日は何もしたくなかった。仕方がないので日の当たる縁側で丸くなってたら壱ノさんがお茶を持ってきた。珍しい。いつもお茶を煎れにいくのは僕の役目なのに。
お茶を置いて、壱ノさんは隣に腰掛ける。あぁそうか、壱ノさんはわかってるんだね。僕がヘコんでるくだらない理由を。




「出掛ければ?」



そう軽く言わないでよ壱ノさん。今日は駄目なんだ。きっと笑えないよ。いつもみたいなアルカイックスマイルは出来ないんだよ。法師様はいつだってみんなに頼られる存在じゃなくちゃいけないのに、この様じゃ人前になんて出られない。ましてや彼女に会うことなんてできないんだよ。



「会いたいんだろ」



どうして疑問形で聞かないのさ。わかってるからって意地悪な聞き方しないでよ。
ごめん。これじゃ八つ当たりだよね。誰かに当たりたくなんかないんだ、そんなことしたって虚しくなるばかりだから。
わかってる、わかってるんだけどね。





「一京は、あの侍に会いたくないんだろ」



………。

そう、じゃない。





「そうだろ」




違う、よ。





「そうだよ」





そう、なの かな。





「そうだよ」






……でも駄目なんだよ。六は友達なんだ。親友なんだよ。僕は、六に幸せになってほしいんだよ。そのためには、僕が邪魔なんだよ。僕は彼女に会いたいなんて思ったら駄目なんだよ。僕さえいなくなれば二人が幸せになれるんだよ。だから、僕さえいなくなれば。



   がつん。





一瞬なんだかわからなかった。
気が付いたら僕は縁側から蹴落とされて地面の上にいた。





「立て。立つんだ、一京」



…なんか聞いたことある気がする。某ボクサーが脳内でダブる。





「立ち上がれヘタレ法師」

……相変わらず辛口だね


「お前が甘いんだ童顔」



うーん…辛いね…




 
 




そう。
壱ノさんはいつだって僕を心配してくれてたんだよね。いつだって側にいて、僕を励ましてくれてるんだよね。


ほんとは気付いているよ。
壱ノさんが、僕を好きだってこと。

彼女の影を追い掛ける愚かな僕を、なんにも知らない振りで慰めてくれてることも。



もちろんそんなことは言わないけれど。











やっぱり出掛けようか、壱ノさん。


「酒は買わないとないぞ」


じゃあ、まずはお買い物にいこうか。














許されるならもう少し、あなたのその優しさに甘えさせてください。





       … エンド。









++++++

紫←一壱。

ぇ、なにこれ。一京さん二股?一見二股ですが、違います。

昔は紫さんが好きだったけど今は六がいるから諦めてて、でも時々思い出してやっぱり好きだけど絶対叶わないんだよねって寂しくなる感じ。
で、昔好きだったひとを思い出すことで今好きなヒトになんだか申し訳ないような気持ちになる感じ。


実はウチの一京さん女性関係複雑です←!!!!
戌上は一壱と一→紫と一←椿をプッシュです(えー

いや、好きですよ一京さん。

 

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