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 ごめんなさい、
 ごめんなさい、

 暗い闇に捕らわれた村で、紅い、紅い蝶がひらひらと舞う。
 どんなに手を伸ばしても、どんなに泣き叫んでもこの手に掴むことは出来なくて。
 沢山の蝶と一緒に、彼女も空へ消えて行く──。

「…っ、ぁ…は…っ」

 飛び起きると、真っ白な世界。黒と紅で彩られていたあの村とは対照的な、白。
 紅い蝶が空を舞って、あの村に光が射して。…それから、気付いたらもうこの真っ白な部屋に居た。お母さん達の話によると、私は森の中に倒れていたらしい。一人で。
 何が有ったのか、お姉ちゃんはどうしたのか、沢山の人に聞かれたけど、分からないとしか答えられなかった。言えない、答えられるわけない。だって、彼女は…。

「ごめんなさい、ごめんなさい」

 誘われる様にお姉ちゃんを追って、暗い暗い、地下道の先で。
 お姉ちゃんじゃない、だけど確かにお姉ちゃんの、囁きに促されて、引かれるままに細いそこに指を掛けて。
 ──私、が、…ころした。

 絞めた感触が、触れた熱が、どくどくと脈打つ鼓動が。今もなお、頭に、指に、心に残っている。
 あれは夢だったんだって、悪い夢なんだって思いたくても、いつも一緒にいてくれたお姉ちゃんはどこにも居なくて。
 澪、って。優しく、少し不安そうに、嬉しそうに、名前を呼んでくれる貴女が居なくて。
 何より、頭から離れないあの光景が、私に現実なんだと突き付ける。

「ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 謝るから。
 許されるなら何度だって謝るから。だから、どうか、



 うそだといって、ほほえんで





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