be free
くつろぎタイム。
私はTVゲームの類が趣味の一つだが、対照的に姉はそれらに全く興味がない。
にも関わらず彼女は、背後からわざわざ私の肩に顎を乗せて携帯型ゲーム機の画面を覗き込んできた。
「…お姉ちゃんDS買わないの?」
「買わなーい」
彼女は何故か上機嫌で言ってのけると、片腕を私の腰に回してきた。
自分ではごく自然な流れに見せかけたつもりだろうが、それが逆に図々しい。
「一緒にマリオカートとかやらないの?」
「やらなーい」
せっかくのお誘いに身も蓋もない返答。
しかしそれより、鼻歌混じりに私のお腹を撫で回していることの方が更に気に障った私はその手を払いのけて彼女から離れた。
「つめたーい」
「さっきから何そのイラッとする喋り方」
「知らなーい」
完全にこちらをおちょくっている。
クスクスと楽しそうな笑い声を漏らす彼女に、私は眉間の皺を深くした。
これでは集中できないため、短い溜め息を吐くと一度画面から目を離す。
「いいわよ?ゲーム続けて」
「また邪魔するくせに」
嫌みたっぷりにそう返してやるが、勿論彼女は動じる様子もなく、それどころか再び身体を密着させてきた。
「だって私、ゲームしてる遥希にちょっかい出すのが好きなのよね」
姉は嬉しそうにそう言うと、私の首元に鼻先をこすりつけてくる。
まるで子猫がすり寄ってくるかのような仕草が可愛らしくて、思わずされるがままになってしまう。
「食べたーい」
言葉の意味を理解するより先に、ちゅ、と音を立てて首の付け根を吸われる。
しまった。何が子猫だ私の馬鹿野郎。
油断大敵
変態メス猫が軽く歯を立てやがった時、私の手から大事な大事なニンテンドーDS(ジェットブラック)が滑り落ちた。
※構って貰えなくてもいいんです。自分から攻め入るから。
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