青ざめながら叫ぶ私


 あはは、コイツマジで地獄に落ちればいいと思います。

告白の定番場所I

 普段はふざけている奴ほど真剣になった時のギャップが激しいとは常々思う。
 目の前にいるコイツも例外ではない。

「呼び止めてごめんね。でも、確認しておきたかったんだ」
「確認って、なんですか。早くしてもらえます?」

 緩みのない表情と視線に少し戸惑いながらも拒絶の言葉は忘れない。
 コイツは腐っても変態似非優男なのだ。真剣な表情に思わず裏庭まで付いてきてしまったが忘れてはいけない。叫ぶ準備と逃げる準備も忘れてはいけない。

「俺の弟にね? 彼女が出来たことが最近になってわかったんだけど」
「三日月和弥……」

 忌々しい変態の弟! お姉さまの傷ついたハートを射止めた憎い奴!

「で、その和弥の彼女の事なんだけどね……」

 途中まで言いかけた所で変態似非優男は瞳に陰りを見せた。――コイツのこんな表情は初めて見た。

 いや待てよ? コイツは変態であって脳内思考回路がおかしい。そして話の流れからすると弟の彼女の事が気になっている模様だ。しかもお姉様とコイツは前に一度、かなり不本意ながら私を通して面識がある。

まさか、コイツお姉様に惚れた? で、弟の彼女だって知って戸惑ってるのか? 確認って本当に三日月和弥の彼女がお姉様である事の確認?
 私のお姉様に惚れるだなんてなんて烏滸おこがましい男! あんたなんてそこら辺の土草とイチャコラしてればいいものを……! こないだ会った時も実はお姉様をいやらしい目で視姦してたのね! 許すまじき! いつか捻りちぎってやる。

 決意を固めたのか変態は真っ直ぐ私の瞳を見つめてきた。

「和弥の彼女って、莉央ちゃんなの?」
「………………は?」
「俺、昼休みに見ちゃったんだ。莉央ちゃんが和弥に抱き付く所」
「ハァ!? なんで私が忌々しい三日月和弥に抱きつかないといけないのよ! 有り得ないんですけど! 兄弟揃って深海に沈んで下さい」

 なんだコイツ! キモイんですけど有り得ないんですけど意味がわからない! やっぱり思考回路イカレてる!


青ざめながら叫ぶ私

(途端に笑顔になる彼)
10.03.02


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あきゅろす。
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