私はパンにかぶりつきながら睨む
腹減りすぎて気持ち悪くなってきたぜコンチクショーウ!
明らかに腹壊しそうなジュースE
お腹空いたお腹空いたお腹空いた。
イライラオーラを出しながらHRを始めた担任を睨みつける。
事の発端は休み時間。お弁当を忘れた上に先輩の件で学年主任に呼び出され、問答の末に関係ないという結論がくだされた。これで購買にいけば美味しいか不味いかは別として腹に物を溜められる、そう確信した瞬間あの変態似非優男が乱入。しかも似非優男は丁度関係ないと言うことで片付いてたハズのあの先輩だったからもう最悪。そのまま変態とセットで先生にいくつか質問やらなんやらされて解放されたのは授業開始十分前だなんて初めて本気で授業をサボろうかと悩んだ。
「じゃあ今日はこれで終わり。また明日なあ」
先生の挨拶と共に教室をでて、げた箱付近に設置された自販機に雨蛙の蝦蟇口財布から取り出した小銭を入れてパックジュースを選ぶ。家に着くまでジュースで腹をごまかす作戦だ。
(無難にストレートティか腹に溜まる事を考えてミルク入りにするか)
人差し指を立てた手を上げて視線をゆらゆらと揺らしながら悩む。
ふと、此処で悩む時間があるならばサッサと選んで帰り腹に食べ物を詰め込んだ方がお利口な考えだと気がつき一番上にあるストレートティへ指を伸ばす。
「りーおーちゃんっ」
「うっ、」
誰かに肩を叩かれた驚きでストレートティの一つ下のボタンを押してしまった。慌てて手を離すが後の祭り。虚しくもガコン、と音を立ててストレートティでもミルクティでもナイ物が出てきてしまった。取り敢えずソレを手に取り一つため息をつく。
「………」
「ベリーベリーミックスオ・レ、粒々カシスチョコレート入り? 莉央ちゃんはそうゆうのが好きなの?」
お ま え の せ い だ !
てゆうか、またお前かドM変態馬鹿似非糞優男! お前まじで疫病神かなんかだろ、むしろ嫌がらせかコノヤロウ!
チラリと顔を後ろへ向けて変態似非優男を見てからため息をつき変態は無視して靴を履き替えて家路に向かう。
「莉央ちゃんどうしたの? お腹いたいの?」
腹が減ったんだよお前のせいでな!
変態の言葉をかき消すかのようにパックにストローを差して中身を啜る。
オ・レにしては酸味が強いと思ったがガリガリとチョコレートを咀嚼しながら飲むと酸味が緩和されて丁度いい。
…………結構うまい。
「あ、わかった。お腹空いたんでしょ? お昼食い損ねたもんね。パン食べる?」
横から目の前に袋を差し出されて思わず立ち止まる。ちなみにまだ学校の敷地内だからチラチラと視線を感じる。
差し出された袋にはパンが入っているらしいが、その意図がわからず口にストローをくわえたまま変態に視線を送るとニコリと人の良さそうな優しげのある笑みを浮かべられた。だがしかしコイツは変態似非優男、見た目に騙されてはいけない。絶対なにか裏があるはずだ。
ぶっちゃけて言えば朝も弁当に気合いを入れすぎて時間がなくなったため何も口にしていない。有り難く受け取って食べたい、腹減った、パン食いたい、腹減った、餓死する、甘えてしまおうか。……はっ、誘惑に負けるな蓮本莉央!
その誘惑を早く退けろと言わんばかりに変態を睨む。……ジュースを啜りながら。
「あ、俺は授業中に食ったから大丈夫だよ。それは余り。今日は買いすぎちゃったんだよね」
この変態に目で意志を伝えるのは無謀だったようだ。
名残惜しくも目の前にかざされた袋を見つめてから横にズレて進む。この変態はパンを餌になにか条件を出してくる気がしてならないのだ。
「莉央ちゃんもしかして警戒してる? 大丈夫だよ、あわよくばアドレス教えてほしいなあとか思ってるだけだからさ」
ほ ら な !
予想通りだよ! つかこの変態バカ正直すぎるだろおい。
「あと、莉央ちゃんがこれ受け取らないで腹空きすぎて倒れちゃったら俺ん家に持って帰ろうかなって。どっちがいーい?」
私はパンにかぶりつきながら睨む
(彼は爽やかに微笑んだ)10.01.29
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