結局、具合が悪いって事にして午後の授業中に早退した。自分の気持ちを自覚してしまった今、三日月の姿を見てしまったら時の苦しさを思うと逃げずには居られなかった。
「ただいま」
「おかえり! 早かったじゃん、俺も今帰ってきた所」
ヤケに上機嫌な弟に出迎えられて苛ついてきた。私の不幸を喜んでいるかの様に思えてならない。
「あっそ」
これ以上コイツの相手をしていたら余計な八つ当たりをしそうだったからさっさと愁介の横を通りすぎる。
「明日も、俺が起こしてあげるからね」
先ほどとは違い、静かに――でも確かに愁介はそう言った。
「は? なに言ってんの?」
毎朝起こしに来てるくせに、こんなタイミングでそんな事言うなんて。
気味の悪い空気に足を止めて振り返ったが此方を見ている愁は相変わらず上機嫌で気持ち悪い。
でも、更に続いた言葉は私を混乱させるのには充分すぎた。
「だって、先輩と別れたんでしょ?」
「なっ、なんでアンタがそんな事知ってんのよ!」
今朝の出来事なのに、何故? 知ってるはずないのに、まだ誰にも言ってないのに……!
「彼氏なんて重いだけだよ。身軽になって良かったじゃん。……嬉しいだろ?」
私は愁介に掴みかかった。だって、嬉しそうに笑う愁介に確実したから。
――コイツが何かしやがった!
「三日月に何したのよ! そのせいで私はっ」
「先輩には何もしてないよ? 昨日帰って来たら姉貴の携帯落ちてたからちょっとメール消して先輩のアドレスと番号を拒否しただけ」
ソレを聞いて苛立ったのは確かだけどホッとした。私は三日月に捨てられたわけじゃなかったんだ。
「……それだけだけど、先輩は振られたって思ってるよ。姉貴の付き合う条件って連絡取らなくなったら別れるシステムじゃん」
何かが砕ける音がした
(前が見えない)