見えない気持ち


 朝、凍てつくような寒さに耐えられず、自販機でホットドリンクを買った。
 私の分と…………私の分。



***



「なー篠崎、今日って何の日か知ってる?」


 帰り道、頬を染めて分かりやすい位そわそわしながら三日月が聞いてきた。キモい。


「知ってるけど何?」

「じゃあ……はい!」


 嬉しそうに三日月が鞄から出して渡してきたのは薔薇のミニブーケ。


「なにこれ」

「やっぱさ、愛は伝えておくべきだと思って」

「あ、い……」

「篠崎、まじで大好き。付き合ってからもっともっと好きになった。これからもよろしく!」


 立ち止まり、私の顔を見ながら言ったその言葉はバカみたいに私の胸を痛め付けた。


愛なんて、所詮ニセモノでしょ?
恋なんてゴッコ遊びでしょ?
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。
言葉なんて信じない。
男なんてキライだ。

裏切られるのはもう……



 朝買って飲まなかった冷めたココアを投げつけて私は家に入った。



開きかけた蓋を絞めなおす

(それでも蓋は緩んだまま)
11.11.4


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