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きみは女の子(竹+久々)♀久々



飼育小屋に向かっていた俺の前に見えたのは、一つの影。
彼女は今日も凛とした姿だった。

「よお!久々知」
「竹谷、」

久々知はゆっくりと俺に振り向いて、きゅっと小さな手を結んだ。
俺が知る限り、これは久々知の一つの癖。緊張した時にこいつはよくこうする。(今はきっと、誰もいないと思ってたのに俺が来たから驚いたりでもしたのだろう)

久々知は一度、大きな瞳をくるりとさせておはようと言った。俺もおはようと言葉を返す。

小学生の頃、初めて久々知を見た時。俺は単純に彼女をきれいだと思った。長い黒髪に白い肌、そしてその真っ黒な冷たい瞳が。何故か俺を引き留めて止まない。

「珍しいな、お前が此処等辺にいるの」
「そう、か?」
「そうだよ。だってこの時間、久々知はいつも教室で本読んでるだろ」

気分転換にでも来たのだろうか。それとも…と小さな期待を抱くがまずその可能性はないだろう。(…そもそも俺、期待って何を期待した?)俺は、ただのコイツの同級生。

「えっ?何で、知って…?」
「何でって。昔からそうだろ、お前」
「………」
「朝一番に教室で読書、……って、あれ…?」
「………」
「え、……えと、俺は兎達に餌やりに来たんだけどさ、まさか久々知がいるなんてびっくりしたよ。」

久々知は俺の言葉に沈黙した。伏せられた顔は心なしか色づいている(気が、するんだが)。
正直困ってしまった。もしかして、俺はドジを踏んでしまったのだろうか?いや、まあ、確かにいつの間にか朝委員会に行くとき、1組の教室を見て行くのが習慣になっているし(いつもはこの時点で久々知は本を読み初めているのだ、ああそういえば今日は俺が遅くなったのにもかかわらずアイツの姿が見えなかったのは此処にいたからか!)だから知っていたわけなんだけどよくよく考えれば俺、もしかして久々知を怒らせたのでは…?

あっ謝らなければ!

俺は泳ぎっぱなしだった視線を彼女に向ける。が、もう彼女は俯いていなかった

「え、?あれ、久々「知ってる」」
「?」
「私だって、竹谷が毎朝兎達に餌をあげに来てるの、知ってる!」

言い終わると、久々知は俺の横を走り抜けていった。

「え、あ…っおい!」

俺は慌てて振り返るが、彼女の背中は随分小さくなっていて。もう声も届きそうに無かった。

「………何なんだ、アイツ」

俺の頭の中は現在混乱にまみれていて、言葉を組み立てるのは難しい。そんな中、手に持っていたレタスの葉が一枚、地面に落ちた。



(やっぱ、顔、赤かったんじゃん)



きっと俺と同じくらいに。











きみは女の子
やはり竹谷は無自覚なようです←
男の子より女の子の方が心の発達が早い、というものらしいですから竹谷もきっとそれ^^^^^ほんのり竹→←久々、でした^^

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あきゅろす。
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