真珠のピアスより酒よ(竹谷)※ 「ふあっ、はあっ」 身体が、妙に熱くてたまらなかった。 兵助がそれに気付いているかは知らない。ただ、俺はこの原因を知っている。 (び…やく…) だが、これでも自分は忍の卵。そんなものの為だけに身体を許すわけでは無論ない。きっと俺はこの男に対して欲情しているのだ。 「兵…助っ」 俺は兵助が好きだ。溺れてしまうくらいに、夢が終わりを告げてもいいと思うくらいに。兵助を愛している。だからこそ、申し訳ないと思った。 「お…願い…っ」 あんな獣のような男に、喰われるだなんて。 「も…っと、…」 「八…」 ツゥ、と一筋の雫が頬を滑っていった。兵助の瞳が一瞬ユラリと揺れる。 「もっと、…頂戴…?」 俺は初めから兵助の元にかえりたくてたまらなかったのに。なのにたどり着けなくて。独りではこんなにも無力。 これは総てが罰なんだろうか? 俺には、わからないよ―――――― 真珠のピアスより酒よ (俺はお前だけが欲しい…) [*前へ][次へ#] |