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エンドレス(竹→久々)
好きだとか嫌いだとかそういった気持ち総て、切り出してしまえばいいんじゃあないだろうか。そしてぽっかり穴の空いた空洞にドロドロとした想いを詰め込んで生涯抜けられなくしてみてしまえばいい。
(…だなんて、ああ、いやだ。何時から俺はこんな風なヤツになってしまったんだろう)
首を下にもたげたまま静かに地面を見つめた。包む様にして囲いを作る手には先程掴まえた淡い色の蝶々がいる。
(俺も、蝶々のようになれたらな。)
ゆっくりと手を開いてみればひらり、ひらりと蝶々が浮上してくる。だけれど蝶々は逃げることも何処に行くこともしなかった。ただ竹谷の指に少し止まり、また少し浮上し、ひらひらと肩口を回り続ける。
この儚い姿はなんと美しいことだろう。
(こいつらみたいに飛んで彼奴の元に行くんだ。あの黒い髪に少しだけ止まって、あの白い指を掠めるだけでもいい。遠くから見つめているだけでもいい。ただほんの少し気付いてくれさえすれば、いい)
小さな小さな命と羽を羽ばたかせ、真っ直ぐにゆきたい。だが、この美しい姿には。訳がある。
羽をぱたつかせる度にパサリパサリと輪粉が宙を漂うのだ。ピリッとした刺激が肌を刺すが竹谷はもう慣れてしまっていた。
(…嗚呼…)
竹谷は微笑を浮かべながら前髪をぐしゃりと右手でつかみ上げた。
(無理…か)
途端、ふつふつと笑いが込み上げてくる。それは自分を嘲笑うかのようなもので、酷く冷たい。
(毒である俺に、彼奴の傍らにいる資格は無いんだ。…夢物語も甚だしい。)
自らを傷つける相手に何を赦そうか。自らを蝕む相手に何を赦そうか。竹谷は唇を噛み締め、ゆっくりと視線を上げた。
広がる大地は先程の土気色ではなく緑ばかり。ただ違うのは己に振り撒かれた重苦しい鮮血のみ。











エンドレス
(『終わり』はいつだっけ?)
実は竹→←久々だったりするのですけどもも。竹谷独白。

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あきゅろす。
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