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今日も君に溺れてく(鉢雷)


「雷蔵」
「ん〜?なあに、」

床に寝転んで本を読む雷蔵
体はそのままにして僕の方に首を少し動かし視線を向けている(嗚呼お前さあ何てことしてんのその上目使いは狙っているのか?ちょっと無防備すぎやしないか?)


「その、僕、雷蔵が好きなんだ」
「僕も好きだよ、」



…え………即答?



ままま待てよ冷静になれ僕、顔が緩むには残念ながらにまだ早い。迷い癖のある雷蔵が即答(しかもこの手の話、というか僕の真剣な告白!)するなんてまさかまさかまさかまさか!
冗談だとか思われてるんじゃあないか!?



「ちょっと雷蔵、僕は本気なんだぞ!」
「僕も本気だけど?」
「や、でも何つーかだなあ…」
「何、証拠でも欲しいの?」



ぱたんと雷蔵は本を置いてつっ立っていた僕の体に腕を伸ばした



「! 雷っ…!」



それから直ぐに軟らかな唇の熱が伝わる




「満足した?三郎、」




雷蔵はときたまドキリとするような言葉を平気で吐く
性質の悪い、言葉を(僕とはまた違ったものだけれど)
それでも僕の体温があがったのにかわりはないし
その声で名前を呼ばれれば幸せだと何時も僕は君を想う
兎に角今は自らの赤いだろう顔を極力隠そうと努力し、僕は切り返しを試みる


「してない、と言ったら君はどうするんだい?」
「うーん。」


眉を寄せて雷蔵は少し考える
彼の迷い癖は5年たった今も酷くありつづけていた
そんな表情や仕草さえ愛しいのだから存外僕は大切な処が壊れているのかもしれない


「ん!」
「お。決まったか」
「うん」


雷蔵はにっこり微笑みながら、近い二人の間をもっと無くすように
ぴったりと僕に抱きついてきた


「…これが回答?」
「違うよ。こっちが答え」




言うと雷蔵はまた僕に唇を押しあてた
だけどさっきより深い、深い
噛みつくような野生を
しかし愛しむような優しさを
雷蔵が雷蔵であってそれを感じさせるようなキス




「はい、おしまい!」




今日も君に溺れてく

(…雷蔵)
(なあに、)
(ごめん最初から信じてた)
(うん。解ってた)

鉢屋に僕って一人称をさせたくて書いた…(もそもそ)

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あきゅろす。
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