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ナチュラルハモニカ(留伊)



とんてんかんてんとんっ


「とーめー!」


とんてんかんてんとんっ


「…伊作?」


留三郎を見つけた僕は空いた右手を大きく降りながら駆けてゆく。(やっぱり此処にいたんだね、今日もアヒルさんの整備かな?)

「ちょっとお願いがあるんだけど。今、いいかな?」
「ああ、それ…か?」
「うん。」

留三郎が指差した先には僕が左腕で抱えてきた救急箱。それを両手で持ち上げて彼に見せる。

「この救急箱、少し閉まりが悪いんだ。頼めるかい?」
「おう。いいぜ」

そういうなり留三郎は真剣な瞳で救急箱を受け取ってひっくり返したり横から見たりする(嗚呼なんだかまるで…)

「あー、ここのネジが緩んでるな。あと、少し補強するか。」
「留三郎、」
「ん?」
「君、そうしているとお医者様みたいだねえ」
「……は?」

僕が肘をつきながらほくほくと留三郎を見やれば少しだけ眉を潜めた彼が視線を返す。

「どっからきたんだ。その考えは」
「うーん。内緒、」
「わけわかんねえな」

諦めたのか軽く息を吐いて留三郎は手元にあった工具箱から道具を取り出す。
きゅるきゅるとネジが締まる音が聞こえた。

「ねー、留」
「何だよ」
「大好き」
「 ! …っい!!!」
「とっ留三郎っ!?」

ガツッと金属の噛む音がして留三郎の指が食われた。痛そうに彼の表情は瞬間歪む。
じわり、赤みの膨らんだ人差し指が見えた。

「大変っ…!」
「っつー…お前がいきなり変なこと言うから……あ?」


ぱく


「!?」


ぺろり、


僕は急いで口に含んだ留三郎の指を舐め上げて素早く懐から絆創膏を取り出した。
ぺりぺり剥がした絆創膏を指に張り付けていく。


「ごめん。僕がいきなり声をかけたばっかりに…」
「やっ…伊作、お前っ、今…!?」
「ん?バイ菌が入る前に消毒したんだよ。」
「しょっ消毒って…!」

僕が治療していた指の反対の手で顔を押さえながら留三郎は先程より深く息を吐いた。その顔は、赤い

「ふふっ、意識してしまったのかな?」
「っんなわけあるか。…ただ、」

掴みっぱなしだった片手を解かれて今度は留三郎の手がゆっくりと僕の頬に添えられる。




「少し触れたくなっただけだ」








ゆうるりと吹き抜けた風が心地好く廻り。
重なった影が永遠の一時を写し出していた――――――







ナチュラルハモニカ
(これが僕らの自然体)
サイト2周年企画のフリーリクエスト、比奈リクエストの『留伊で甘め』でした。何か趣味に走ったのがバレバレですね。甘くなりすぎた気が(苦笑)
とても楽しかったです←
フリリク有り難う御座いました^^*

比奈のみお持ち帰りOKです。

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あきゅろす。
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