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程好い苦味と、それを上回る君の優しさ(鉢雷)


コポコポと注がれるお茶の香りが鼻孔をくすぐる。ゆっくりとした動作で雷蔵は二人分の湯呑みを卓袱台の上にコトリ、と置いた。


「はいっ、三郎。」
「ありがとう」


一つ口に含めばほろとした苦味とまろやかな茶の葉の風味が口一杯に広がる。私はこの感覚がたまらなく好きだ(まるで彼の温かさを身体に取り込むかのようだから。)


「うん、やはり雷蔵の淹れてくれるお茶が一番美味しいな」
「そっそう?普通に淹れてるだけなんだけど…」


(あ。頬が赤い。)
照れたように微笑む雷蔵は何て可愛らしいのだろうか!つられて私の頬も緩んでしまう。


「ふふっ、特別なことなぞしないからこそ。自然な雷蔵の優しさが茶にも影響しているのさ。」
「そうかなあ…」
「まあ、私としてはお茶よりも雷蔵のが飲みたいんだけど」
「へ〜…僕……は?僕?」

ズズッ 喉に残りの茶を流し込みながら、固まった雷蔵をちらりと見やる。

「なっななな何言ってんの三郎!!」
「何って、ナニだけど?」
「そうじゃなくてっ!!!!」

雷蔵は真っ赤な顔のまま私を睨み付けてきた。(本当に、可愛いなあ、)

「ねえ雷蔵、久しぶりに飲ませてよ。優しくしたげるからさあ。」
「え…あ…うぅ」
「あ。でもさでもさ!!何なら逆に飲んでくれるとか?雷蔵に御奉仕してもらっちゃったら私、軽くヤバいや!!」
「ううう…うぅ…」
「ねえ雷蔵、早速今夜辺りやらないkバッコーンッ!!!!!うわあああああんっ!!!三郎の馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ああああ大っ嫌い!」ぶぐあっ!!!!」

私の顔面に卓袱台をぶちかまして、雷蔵は逃げるように部屋を出ていってしまった。

「ぐっ…流石私の惚れた男だ…!……痛い…!」


ぱた。


変装の天才と呼ばれる忍たま、鉢屋三郎……死亡、もとい気絶。







程好い苦味と、それを上回る君の優しさ。
(………あいつら、何してんだ?)
(いつもの痴話喧嘩だろ。ほらっ行くぞ八)
(あっ待てよ兵助ー!!)

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あきゅろす。
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