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ガーネット・4(竹久々)※



鈍い、音がした。



「あ…ああ………あ」
「……へへっ。やっ…ぱりな」



赤い液体が俺を伝って地に染み込む。



俺は、気付いたのだ。

お菊の手が俺の肉を掴んだ時、確かに肩が鳴った。 神経が生きているのなら問題はない。

無理矢理起こせば良い。


「な…何してはるの!!!!!!!!あんた、馬鹿なんと違う!?!?!?うち、言うたやないの!!!!あんたがうちに『愛してる』て言うたらあの男を助けたるて!!!!言うたやないの…!!!!!!」

お菊は俺から手を離し、自分を抱くようにして一歩後退る。


「確かに、兵助を護れるなら。この命惜しくはないんだ。」


ドクドクと左腕が悲鳴をあげながら吐き捨ててゆく。俺の血液。


「だがな、彼奴はそれを納得しねえんだよ。カンカンに怒るだろうぜ…それに」



兵助は優しい。
俺はそれが、愛しい。



「俺が愛してんのは久々知兵助だけだ。」



俺は腕から苦無を引き抜き構える。



「…〜〜ぬぅうううッ!!!!おのれおのれおのれええええ!!言わせておけばよくもよくもッッッ!!」


お菊の目鼻だちはつり上がり、爪は鋭さを増した。更に後ろには長い尾が見える。

「お前、狐だったのか。」
「五月蝿いッ!!馬鹿は死んで後悔しろっ!!!!!!」
「生憎だが、それは無理な話だぜ」











襲いかかる牙を目の前にして、何を思ったのか。

ただ、俺に恐怖は無かったと。それだけはいえる。












ザシュッ!!!!











高い鳴き声と共に、
朝陽が満ちる。

















ぱちっ



「……ぁ」
「目、覚めたか。兵助」
「……は、ち」

俺の目の前にはハチがいた。少し、疲れているようだった。

「…………良かった……」
「ん、」

ハチは俺を力一杯に抱き締める。俺はそれを流されるままに受けた。

「……もし、お前が此のまま目を冷まさなかったら、どうしようかと思った…!」

ハチは肩を小さく震わせていた。彼からは微かに血の匂いがした。

(…………)

ハチに抱き締められながら、俺はあの出来事を思い出す。暗い場所の二人の竹谷を。


(あれは、夢だったのだろうか)
(寝ていたのだ。当たり前か。)
(…いや。でも、それにしては…俺は確かにハチを感じたし…)
(しかも現にハチは血の匂いが…するし。)

ちらり、隣に目を向けてハチを見る。
その瞳は閉じられ、口元は嬉しそうに歪められていた。

(ああ……なんだ、そうか)

ぐい、ハチの体を軽く引き離す。


「兵…?っん」


俺は顔を近づけてハチに口付けた。彼の首に腕を回せば、自然な動作で腰に手を回し返してくる。

「…んっ…んうっ」

互いに舌を絡め合い、貪りついた。

「んんっ……ふっ…はぁっ」

唇を離せば銀の糸が伝う。俺は、にっこりと微笑み、ハチを見つめた。



「愛してる、八左ヱ門。お前の総てを」








ガーネット・4
(あれも総て、お前だったんだな。)

オリジナルなあやかしが出てきました。喋り方については…大目に見てやってください。(苦笑)
何だか色々あれで申し訳無…OTL…楽しかったです!←

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あきゅろす。
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