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ガーネット・2(竹久々)※
暗くて何も見えない。
(此処は何処だろう)
そこは妙にひんやりとした場所だった。肌寒い位だ。
(どちらに歩けばいいかもわからないな。)
ぴちゃり。
ふと、何かあたたかいものが頬にかかる。
(…?)
頬から顎に伝わったそれを俺は指で掬って見やった。
(…血、だ!)
途端、独特の鉄の匂いがむせるように立ち込めてくる。

気配が、した。

今まで何も見えなかった視界の先に、誰かが背を向けて立っている。微動だにもしない。立ったまま死んでいるのだろうか。
(………。)
俺は何を思ったか前に足を進めた。確かめようと、した


嫌な予感がしたのだ。


近づいて行けば行くほどに強くなる血の匂いに気が狂いそうになる。それでも俺は足を止めない。寧ろ速さを増していく
(何だこの胸騒ぎは)



「其処にいるのは兵助か、」


( ! )
びくりっ。身体が凍りついたように止まる。後もう少しで肩を掴めたであろう俺の手が行き場を失った。

声をかけてきたのは背を向けた人物。

(ハ…チ…?)

ゆっくりと此方を振り返ったのは俺の親友で恋人の、奴だった。相変わらずボサボサと手入れの悪い灰のかかった茶髪が、今は赤を交えている。

「驚いた顔するなよな。仕方ないだろ」

八は困ったように眉を寄せて笑った。
赤い並々と濡れた血液の上で笑う彼は何処か憂いに帯びている。
(…仕方ない、?)
俺は導かれるように視線を下に下げていった。




赤い並々と濡れた血液の中には









とした灰の、

茶髪の、俺の









「!?!?!?」
「声にも成らないのか」




ゆっくりとした動作で立ったままの竹谷はだらりと伏している竹谷の前髪を引っ張りあげた。
俺は視線を外す事が出来ない。

「わかるか、俺は竹谷八左ヱ門。コイツも竹谷八左ヱ門。なあ、兵助」

俺に見せつけるように両方の顔を向ける。
一つはぎらぎらとした剥き出しの獣のような瞳で。もう一つは精気を失ったこの背景の黒よりも深い闇をたたえ、







を、




見つめ









「うっわあああ、ぁあ
ああ!!!!!!」
「あはははははぁっ!!!!!」







ガーネット・2


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