身果てぬ楽園(留伊) 「ねえ、留?」 「どうした。」 「皆、いなくなってしまったねえ」 「ああ。」 辺りを見渡せば開けた天 ゴロゴロと転がる動かぬ地 「あれだけ居たのに、あっけない」 「戦場だからな。そんなもんだろ」 「まあね…だけど何時見ても私は理解しがたいんだよ、戦場(いくさば)というやつが」 「そうだな…たぶん、俺達の生きる場所とは違うからそう思うんじゃあないか?」 「一里有る」 俺から視線を外して伊作はもう一度景色をぐるりと見渡した しかしその瞳は何時も、何時も (やっぱり、コイツは) 「私達は闇に生きる者…」 (善法寺伊作というこの男は) 「潔く散って果てる夢は持ち合わせてはならない」 身果てぬ楽園 「そうだろ?留三郎。」 俺はオカシく笑う奴を力一杯抱き締めた せめて、せめて、俺だけには 泣いていいから。 食満は優しい人で少々過保護。だと思う そして結構常識人。だけど頭に血が上ってる状態(喧嘩中とか)だと折れない頑固者ってな感じで 変な所が無器用。男前 [*もどる][すすむ#] |