確信寝入りな眠れぬ森の美女【夏切】
「くかーーー」
「麒春?」
誰かの寝息が聞こえてソファをひょいっと除きこむと、そこには夏流が正々堂々と昼寝をしていたのは発見した。
この寝顔ポイント高いな。
「何で黒白さんに起こられねえの?」
ご丁寧に毛布をかけられた後があるしな。
夏流には本当に甘いな、あの賢者さんも。
きょろきょろと周りを見渡して、誰も近くにいないことを確認するとある悪巧みを思いつく。
よくあることかもな。
(……キスしちまうか)
眠るお姫様には、セオリーだよな。
ゆっくりと夏流に、夏流の顔にと近づいていくにつれて心臓の音がどくどくと大きくなる。
白馬の王子ってのは、かんじなんだな。
まつげが長いとか、肌が白いだとか色々と考えていたら手に持っていたゲーム機を床に落としてしまった。
がたっ
「っ、やっべぇ…!」
急いでゲーム機を拾い視線を夏流の方に戻す。
「う、…ーーーーん」
「あ、危なかったな」
「すーーーーーー」
起きなかった。
そういえば、一度寝付くと起きないんだっけ、こいつ。
その性格に初めて感謝しながら、再度実行する。
このイベントをクリアすればポイント高い。
王子ってのも大変だな。
ある程度、キスの可能な距離までくる。
「…▼キス?▼チュウ?」
声出したら起きてしまうかもしれないが、その時はこの距離だからやってしまおう。
「…それ意味一緒だよね…?」
「っ!!」
「……ま、そうだな」
(拒否権無えし)
そのまま静かに口付けをふらす。
確信寝入りな眠れぬ森の美女
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