トラウマ女の子 【與儀】
「なあ、夏流」
「何?」
「あいつ…、與儀って前にも何回か暴走したことあんのか?」
「…あるよ、被害にあったもん…」
「ほんとかよ」
「あれは…、」
(語り始めた…遠い目で)
=====
あれは、少し前の話になるんだけど。
「夏流〜!」
「與儀!何か用事?」
「うんと、お話でもしたいな〜なんて」
「ごめん、與儀。今は公演近いし、また今度ねっ」
行こうとした時、腕をがっとつかまれて後ろに引かれる。
腕痛いっ。
「な、に…?」
「゛また゛゛いつか゛って、いつなの?」
めずらしく怒ってるみたい。
でも悪いけど、なんか気持ちが可哀想だなってならないんだよね。
「………」
「俺は夏流が大好きだよ!」
「與儀ばかり…、」
大体、今は公演近いから仕方ないことなんだって。
一緒にいたいに決まってる、むしろ、いたい。
與儀が文句ばっかり言って…。
イヴァ姐さんだってツクモちゃんといたいはず…!
これは違うかな?
「ねえ!夏流…っ」
與儀が言いかけた時、
はら…
「…與儀…?」
「なあ、にー?
「医療パッチ、取り替えたのいつ?」
「…み、三日前くらい…かな?」
「ばーか!!」
「うぐ、うああああぁぁぁっ!!」
金髪から銀髪に変わっていく。
「…ふうっ」
「………っ」
完全に暴走が始まった。
これは非常にやばいかも…、もしも戦闘にでもなったらって考えると冷や汗が止まらない。
「夏流、遊ぼう〜?」
目を見つめたまま、つかつかと近づいてくる。
「ねえ、寂しかったんだよ?」
「うぅ…」
ちょっと可哀想になってきた。
がばっ
「なーんて、捕まえた。俺の夏流〜」
「ああー馬鹿した!」
「さあ〜てと、夏流にはた〜っぷりと慰めてもらおっかな」
怖い、色々な意味で…。
「そうだな〜…
ちゅうしてよ、ちゅう〜♪」
「…なんで?」
「夏流がほしいから。」
「理由になっていません、却下」
「夏流に権利も糞もなーいよ」
(ど、どうすれば?)
自分の無能さに少し泣けてきた…。
「っ、泣いてんの…?」
(おっまだ優しさが?)
「うん、…そそるねえ♪」
「くっ」
「早く〜♪」
「早くと言われて出来るものじゃないよ?」
会話しながらも、どうにか逃げ出すチャンスをうかがうけど、少しでも動こうとするを腕をぎりっと握りかえしてくる。
一か八か、いってしまえと精一杯の力で逃走を試みる。
「あっ!」
やった!
がしっ
後ろを振り返るをしっかりと捕まれた自分の腕と、
黒いオーラをこれでもかと出し続ける與儀がいた。
「ねえ…」
「逃げられるとでも、思ったー…?」
「ーーーっ」
「来てくれないなら、こっちから行くよ?」
「楽しく、あそっぼ♪」
(もう駄目かもっ)
覚悟?を決めて、ぎゅっと目を瞑る。
『メエ』
「「メエ?」」
與儀が声のする方に顔を向けると、羊さんがたっていた。
「…何〜?邪魔する気?」
與儀が羊に手を伸ばそうとした瞬間、
ぺたっ!!
與儀の頬には医療パッチが張られた。
なにが起こったのかよく分からず、周りを見渡すとツクモちゃんがいた。
「よ、良かった…!夏流、大丈夫?怪我ない!?」
「ツ、クモちゃ…!」
いきおいあまって抱擁。
「夏流っ…!」
照れてるのがまた良し!
「羊もありがとう!」
ぎゅうぅーっ
「メェ♪」
與儀はその間、気を失って倒れてはいたけれど、ほったらかしだったり。
=====
「あれ?俺なんで病室に?」
「與儀」
「夏流!!」
「與儀、…もし與儀が無事だったら、沢山お話もしようね?」
「うん…、?」
「頑張ってね!じゃっ」
「え?ちょちょっと〜?」
意味が分からないけど、なんか誰かの痛い視線をひしひしと感じる。
視線の元を探してみるとそこにはイヴァ姐さんが仁王立ちでこっちを見ていた。
「えっと、これは、…どういう〜?」
「理由なんていいの。とりあえず…覚悟はいいわね?」
「ぎゃあああぁぁぁああっ!!!」
=====
「…って、話」
花礫はがたんっと席を立つ。
「?どうかしたの?」
「いや、ちょっと與儀に用事出来たから…済ましてくる。」
「そっか、いってらっしゃい」
「…ああ」
ガチャッ
「え?ちょ…花礫君!?
ぎゃあああぁぁっぁあぁ!!!」
「與儀?」
トラウマ女の子
▽ライターノーツ
これは書くしかねってなった與儀さんの設定。
お子ちゃマン與儀から大人?與儀なかんじがね、
すばらしく書きやすかったね。
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