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シチュエーションに疑問をもつ彼女 【與儀】






廊下を歩いていると、急ぐような足音が後ろから聞こえてきた。
誰の足音かはわかったから、くるっと振り向いてその人の名前を呼ぶ。


「イヴァ姐さん!」
「夏流ー!!」


ばふっ

ぎゅーっと心いっぱい抱きつかれる。


「癒されるーっ。ずっとこうしてたい!」
「姐さんーっ」


「夏流ー、今から私と買い物にでも行かない?」


今は町に演目をしている為、町に下りていて、
輪暮らしの女の子にとっては買い物に出かけられる唯一のチャンス。


「うー…ごめん、姐さん。」
「どうかしたの?」
「行きたい、大変行きたいんですが…用事が…」
「誰?」

「先客に…




 與儀が。」


指を口元に当てながら、んー…と言って上を向き少し考える。


「大丈夫よ、私がすぐに…






 予定を空けてきてあげるわ。」


右手をポウッと光らせてくるっと與儀の部屋へと向かう。
姐さん笑ってるけど、目が笑ってないよ。
さすがに自分の本能が察しました。

(死!?)

がばっ

これまた力いっぱいに姐さんに抱きつく。


「あら?」
「つ、次は絶対に姐さんと遊ぶから!」


きゅきゅんっ


「もーっ、わかったわよ。冗談だから。」
「うん、大好き。」


「ちっ。」


邪魔者を消す為のチャンスが。
なんとしても二人の仲を遠ざけたいのが本心ではあるけど、夏流が悲しんでしまうわ。
不本意ながら。
何かいい方法…少しの間に夏流貸してくれれば…。


「え?」
「何でもないわよ。ほら、行きなさい!」


與儀、與儀ねえ…。


「うん、ありがとう。」


キュピーンッ
閃いたわ、私。


「あっ、ちょっと待って、夏流♪」
「??」

=====

がちゃっ

「與儀ー!」
「いらっしゃい、待ちくたびれちゃったよ〜♪」


両手を広げてハート乱舞でお出迎え。


「さっそくだけど、これ見よう!」
「…何ーこれー?」
「うん、実は自分でも分からない。姐さんがこれでも見なさいって」
「ふ、ふ〜ん…」


姐さんがせっかく用意してくれたからー?
なんて言って楽しそうな夏流を見ていると、辞めようかなんていえない。
でもそのDVDから明らかに悪のオーラが出てるよ。


ガチャッ、ピッ


「あ、始まっ…」

『キャアァァアアアアァッ!!』

「あ、れ?これってまさか…」
「ホラー映画!?」


「うわぁぁああぁっ!怖いよ、怖いよ!!」

=====

「ふふふ…」


見てるわね…私も考えたものだわ。
私の作戦、『怖がるへなちょこ與儀に、夏流失望作戦』


いい気味よ。


イヴァの高笑いが廊下に響く。

=====

「…うぇっ、うぅ…」
「よしよし…」


二人でベットに座って、腰に泣きついてきている與儀の頭を撫でて慰める。
普通このシチュエーションて、逆じゃないのかな?


「俺、格好悪い〜…」


鼻をぐしぐしさせて、口を尖らせてぶつぶつと台詞をはく。


「そんなことないって。怖いもののひとつやふたつあるって」


ま、ふたつめは燭先生だろうけど。


「…でも、好きなもの沢山あるんだよ?」
「何?」


キラメキ?


顔をがばっと上げて、目が同じ高さに合う。








「夏流」








顔も体もかぁーっと一気に熱くなる。
そんな台詞言われて、この距離で、與儀に触れられているのが、すごく恥ずかしい。
いそいでリモコンを手に取る。


ピッ


『キャアアァァアアァァッ!』

「えっ!何で!?」


また腰に抱きつく。
今はこの状態が一番嬉しいかも。


與儀に触れていられていることと、
赤くなった顔をみられないから。


シチュエーションに疑問を持つ彼女
▽ライターノーツ
この性格、世の女性には胸を打たれたのでは?
その一人が私mama(∀)なんですが。
だからどうしたって、な。

可愛いかったから、書いたんです。
はい。





あきゅろす。
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