今度から手は拭くようになったレディ【花礫】
與儀がキイチちゃんと買出し帰りにシュークリームを(こっそり)買ってきてくれた。
政府のお金なんだけど、そんなの気にしない。
甘いものに政府のお金もくそも関係ないって。
お茶も用意して準備万端。
與儀、花礫、无君、自分は席につく。
「よし、じゃぁ食べよっ、」
與儀が言いかけた時、ツクモちゃんが部屋にやってきた。
「與儀、平問が呼んでる」
「え〜っ何〜?」
「私も呼ばれたから行きましょう」
「平問さん、どこかで見てるのかな〜?」
「先に食べてていいから〜…」
與儀はうなだれながら、ツクモちゃん平問の待つ部屋へ向かっていった。
せっかくだから先に食べよっかと、残った3人でシュークリームを食べる事に。
「んっ!美味しい!」
「お、いしいっ」
「ああ、美味いな」
「なんか花礫君は甘いもの好きそうじゃないイメージあったな〜」
「そうか?…好きでもなければ嫌いでもねえな」
「俺、これ好き!」
「美味しいよねー」
横に座る无君を見ると、口の周りにクリームがべったりとくっついている。
これがまた可愛いんだけど。
母性本能をくすぐります。
「无君口の周り、凄いよ」
「?」
首をかしげてこっちを見つめる。
「ちょっと待ってて」
ぱっと何枚かティッシュをとり口の周りを拭こうとする。
でも手が止まる、その理由は…
「??」
いつにも増して可愛いすぎるから!
このままさらってしまいたい、とか考えていたらすかさず、
「…変なこと考えてないだろうな?」
花礫につっこまれた。
(鬼っ)
「何か言ったか?」
「!! いいえ〜今拭くからじっとしててね?」
「うん!俺じっとするっ」
何故分かった?
「はい、良いよ」
「ありがとう!夏流!」
天使のような笑顔をプレゼントしてくれたあと、无君はまたもさもさとシュークリームをほおばり始める。
またクリームつかないかと若干の期待を込め、自分も食べるのを再開する。
「む〜…」
期待も虚しく、无君は食べ終えてしまった。
しかもべとべとになったのは自分の手だった。
「食うのヘタクソ。夏流、人のこと言えねえな」
「……くっ。うるさいな」
とっくの昔に食べ終えた花礫にふっと馬鹿にしたように言われる。
大体シュークリームを綺麗に食べれる人間なんてこの世の中にいますかって。
手についたクリームをぺろっとなめるとその様子を花礫が物言いたげに見ていた。
「…………」
「あ、今女の子ぽくないって思ったでしょ?」
「いや、何つーか、
…………えろい」
「っ!」
===数日後===
「じゃーんっ!今日はエクレアだよ〜」
うん、まさかね。
まさかの食べると手にチョコとクリームが。
「(かああっ)」
顔が赤くなる。
花礫とばちっと目が合うと、顔が凄い勢いで赤くなっていく。
あの台詞が頭の中を何回も過ぎって仕方がなくなる。
他の人に見られないように顔を下に向けて隠すけど、それがむしろ他の人の視線を集めてしまったのは大失敗。
(可愛い…)
「え?夏流ちゃん、どうしたの〜っ!?」
(馬鹿花礫…)
今度から手は拭くようになったレディ
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