ゲームよりも魅力的になりたい貴女【夏切】
ピコピコピコーン、カシカシ
「よっしゃっ」
「…………。」
こっちみてください、夏切さん。
1分に1回でも、10分に1回でも、…もう1時間に1回でもいいから。
でも君はきっとあれに夢中だよね。
ゲーム開発した人、出てきてください。
相手します。
夏切はベットの上であぐらをかいていつものようにゲームをしているのはいいんだけれど、どういう訳か彼女の自分はほったらかしでプレイ中。
私はその横でそんな彼にある思いを抱きながら、熱い視線を送り続ける。
(かまってください。)
ほったらかしにされてる大変可哀想な私は、頑張って彼を振り向かせることに。
ゲーム好きかもしれないけど、切れられても、こっちに視線をもってきてくれるなら、私はなんでもやってやる。
「夏切」
「んーー…」
ピコーンピコーン
「夏切ー?」
「んーー…」
ポコーンポコーン
「…かーくん?」
「んーー…」
カシカシ
「…ゲーヲター?」
「んーー…」
ピコピコピコッ
「熟年の夫婦かっ(バシッ)」
「んーー…」
嘘…こんなに呼んでも、ましてや頭をそれなりに本気で叩いてみたのに振り向きもしないどころか返事が1文字も変わらないなんて。
(あっ。かーくん、ロボットなの?)
虚しいというのか、悲しいというのか。
きっと淋しいからか人が恋しくなってきて、暇してそうな麒春の部屋に行って八つ当たりでもしてこようと立ち上がる。
このまま夏切に八つ当たりしてたら、彼は気づいたときには死んでしまってると思うから。
麒春は頑丈だもの、大丈夫。
「よっこいしょ…」
がしっ
「っ!」
後ろにくんっと引っ張られる、後ろを振り向くと夏切がこっちを見ていたのと同時にがっちと腕をつかんでいた。
若干、こっち見たと浮かれていたら、
「夏流…どこいくわけ?」
「(怒ってない?)麒春の所に」
「なんで?」
「つまらないから」
「どこが?」
「…………」
怒ったり、きょとんとしたり、ころころ変わる表情に可愛いなって思ったことはさておき、
なんでこの人は分かっていないのかな?
腕をつかまれる力がだんだん強くなるのを感じて、さっきからの夏切に対する不満を全てぶつける事に。
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「……ってわけか」
「…うん」
ベットに二人ならんで座っていると横に座る夏切は、はあっと大きなため息を吐いて視線をこっちにむけてくる。
「あのな、俺は一緒にいるだけでも…こう…緊張するってか、落ち着かねえの。ゲームでもしていなきゃ平常心保てない、それは夏流の事が好きだからこそだ」
頭ががしがしかいて少し視線を下にずらすのは、照れている証拠だと分かる。
「麒春のところは行くな、嫉妬するから」
「自分の都合で嫌な思いさせたなら、わるかっ、」
「ゲーヲタでも、夏切が好きだーっ」
「ヲタクじゃねえ、マニアだ!」
「…夏流についてなら、ヲタク以上だけど」
「え?」
「なんでも」
ゲームよりも魅力的になりたい貴女
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