*treasures*
so much love for you☆(バルトリ)/綾萩真梨乃さま
フラリ、と悪魔は姿を眩ませた。
わたしは慌てて食べかけのケーキを置いて、後を追い掛ける。
「もう、食べないの?」
「もー充分。」
あっさりと返されてしまった。
「せっかくのパーティーなのに…」
むぅ、と頬を膨らませると、
「そんな甘いもんばっか食ってられるかよ。」
とつり気味の目をじとり、と細められた。
「酒があるなら話は別だぜ?」
「駄目よ。」
腕を組んでにやりと笑うバルレルは、小生意気な少年にしか見えない。
本来の姿を知っているからこそ、ちょっと面白かったりして。
「変な顔してんなよ」
膨れっ面のまま口許が緩んだわたしの顔を認めると、両頬をぶにっと彼の手で挟まれた。
抗議の声をあげる暇もなく、唇を彼のそれで塞がれる。
甘い、と感じたのは嗅覚なのか、味覚なのか。
「ごちそーさん。」
満足そうに尻尾を揺らしたバルレルに、
悔しいけど…わたしもお腹いっぱい。
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