*treasures*
so much love for you☆(ﾊﾔﾅﾂ)/綾萩真梨乃さま
「おいしい！」
甘い香りと、ずらりと並ぶおいしそうなケーキ。
大満足のあたしの横には、当たり前のようにあなたがいてくれる。
これって、すごく幸せなことだよね。
夢中になってフォークをすすめてたあたしの目に、かわいく並んだクッキーが飛び込んできた。
そういえばチョコペンがあったことを思い出したあたしは、小さな丸いクッキーに絵を描き始める。
「なに描いてんの？」
「じゃん！さぁ、なんでしょう？」
出来上がったクッキーをハヤトに見せると、
「……なに？」
困った笑顔で反対に質問された。
「バレーボールのつもりなんだけど…」
「…かなりわかりにくいよな。」
やんわりとつっこむハヤトに、あたしから挑戦状。
「じゃあハヤト、バスケットボール描いてみてよ」
「まかせろって！」
ハヤトの手に渡ったチョコペンはゆっくり曲線を描いていく。
ハヤトってばすごく真剣な顔して頑張ってるけど…
「全然ダメじゃん」
「あはは…」
よくわからない完成品に今度はあたしがつっこみを入れる。
「かして」
もう一度チョコペンを持ったあたしの手元を、ハヤトは楽しそうに覗き込む。
あたしは気付かれないようにその顔をチラっと見てから、ゆっくり描いていった。
小さなハート。
「あたしの気持ち。」
そう言って彼の口にクッキーを運ぶ。
クッキーをくわえたまま鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしていたハヤトだけど、
ほっぺがだんだん赤くなっていったのに気付いたよ。
それからちょっと後。
まさかのお返しのクッキーに、
今度はあたしが赤くなる番。
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