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*treasures*
変わりゆく空/ぺぷ様
フレイ…
フレイ、どこに行くの?

待ってよ!

フレイ…。







  変わりゆく空






「…レイ…フレイ!」


バッと目を覚ましたキラの目の前にはきれいなきれいな光。




「う…まぶしい…。」



キラは自分の頬をつたう雫をぬぐいながら目を細める。




一体何回同じ夢を見ただろう。


「夢じゃなくて本当のキミに会いたいよ…。」



でももうそれは叶わないこと。


もう彼女はこの世にいないのだから。




毎日毎日何の変化もない。


ただ生きてるだけ。



空もよどんで何も見えない。



これが僕の望んだ平和?





夜空を眺める度に思う。



もしも君が生きてたら…と…。


キラは夜、海に来て星を眺めるのが日課だった。




「今日も星が綺麗だ。何にも変わらない。」



するとキラは背後に何かの気配を感じた。



少し警戒しながら恐る恐る振り向くとそこにはフレイの姿があった。




「フレ…イ…?フレイ!!」



キラはフレイを抱き締めようとした。


が。




彼女には実体がなく、すり抜けていくばかりで。



キラは絶望と共にまた現実を知った。


「キラ。」



自分の名を呼ぶ声は間違うはずもない、彼女のものだった。



「フレイ。会いたかった。本当に…本当に…。」



目に涙をいっぱい溜めているキラの頬にフレイは優しく口付ける。



「キラ。もう悲しまないで。私の想いがあなたを守るって言ったでしょ?それはずっと変わらないわ。」



「でも!」



「私たちはずっと一緒よ。どんなときも。だから泣かないで。キラは私の分まで生きなくてはダメ。」


16歳という若さで死んでいった彼女。

これからの人生の方が長かったであろうに…。


でも…。


「でも僕はきみの時が止まっているのに自分だけ動き出すなんて…辛すぎるんだ…。」




「キラ…。」




「悲しくて…悲しくて仕方ないんだ…。」




キラの瞳からは涙が溢れていた。




そんなキラにフレイは優しく語りかける。




「人は悲しいから泣くんじゃないの。涙を流すから悲しくなるのよ。あなたの未来は私の未来。…もう時間がないわ…。どうか幸せに…私の大好きなキラ。」



そう言いながらキラを抱き締める。


そっと触れるだけの抱き方ではあったが、キラにはそれがとても暖かく感じられた。



フレイをこのまま不安にさせてはいけない。
変わらなきゃ。




「フレイ…僕も…ずっと大好きだよ…。」



キラがフレイを優しく抱き返しながら、精一杯の笑顔をつくる。


フレイはその笑顔を見ると、安心したようにスッと消えてしまった。






「…レイ…フレイ!」



バッと目をさましたキラの目の前にはいつもの変わらない風景。



自分はたしかに海にいたはず。

ということは。



「夢か…またいつもの現実に戻っちゃったわけか…」


キラがそうつぶやいた瞬間。
ガタッ!!


「わっ!!」



勢いよく窓が開く。

どうやら原因は強い風が吹いたためのようだった。



キラを暖かくて優しい風が包む。




「フ…レイ…?」



キラにはそれが昨晩フレイに抱き締められたときの感覚に似ているように思えた。



「フレイ…僕に頑張れって言ってくれてるの…?」



目の前には綺麗な綺麗な光。


「ずっと一緒にいてくれたんだね…ずっと…ずっとそばにいてくれたんだね…。」



キラの頬にまた涙が。


しかしそれは悲しみのものではなくて。





「フレイ、やっと会えた。ずっと…気付かなくてごめん。」



君のところへ行きたい。


毎日星に願っていた。

でもそれも今日で終わり。


もう僕は泣かないよ。




キラはベッドから出て窓から空を眺めた。



いつもと同じ風景なはずなのにとても青く、澄んで見えた。




END。


ぺぷ様のサイトでキリ番を踏んで、書いて戴いちゃいました。

キラフレはやっぱり切なく、綺麗なイメージが強いです。その通りに綺麗で、切なくて、生きる希望が湧いて来る素敵なお話だと思いました。

ぺぷ様、ありがとうございました!




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