*the others*
seal the fate after(ヨーコ)
困惑を隠しきれない。
何故。
どうして。
ひたすらそればかりを繰り返す。
お母さんを助けられなかった。ヒロムのお母さんも、お父さんも。転送研究センターの皆も。
なのに。
ーーどうしてエンターが生きてるのよ?!
愕然となる。
私達は何のためにお母さん達を永遠に失ったのか。
「私達が亜空間に行って、してきたことってーー」
「無駄だった、なんて言うなよ」
「!」
その決断を下した本人が、決然とヨーコを見ている。そうだ。自分はなんてことを言おうとした。だけど、一番ショックなのは、恐らく彼本人だと、ヨーコは思う。
「俺たちのやるべきことは変わらない。エンターが生きてるってことは、まだ戦いが続くってことだ。ヴァグラスと戦えるのは、俺たちしかいない」
「ヒロム……」
その彼が、毅然とそう言い切った。
それが現実。目を背けることの許されない、事実。
ヨーコの胸がぎゅっと締め付けられる。
「そう、だね……」
瞬間。けたたましい警報が鳴り響き、続いてオペレーターのアナウンスが流れる。メタロイドの出現。
やはり。エンターが現れたということは、そういうことなのだ。
「行こう」
ヒロムが走り出す。
その背中を見ながら、ヨーコは胸中に突き上げる思いを認識する。
彼に対する悲しみと。
怒りだ。
お母さんも、ヒロムのお母さんとお父さんも、皆も助けられなかったのに、エンターが生きてるなんて許せない。メタロイドがいるなんて、許せない!
「絶対、全部削除する!」
ヨーコはヒロムの後を追って、駆け出した。
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