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*destiny*
enjoyed the meal very much/(シン×ルナマリア)はや様10000hitキリリク。
「ねえ、メイリン」
 ベッドに寝転がって雑誌を読んでいたら、おねえちゃんに声をかけられました。でもその時大好きな占いのコーナーを読んでたから、雑誌から目を離さないで、うん?とだけ返事しました。
「どうやったら可愛くなれるのかしら」
 おねえちゃんがそんな事言い出すなんて、珍しいなぁと思ったけど、どうせ明日になったら忘れるだろうな、と思って生返事だけを返しました。わ、今月の双子座の運勢最悪だよ。うぅ、ヘコむ。
 でも、次のおねえちゃんの言葉で完全に雑誌から意識を引き剥がされる事になったんです。
「だってさぁ、シンったら女のあたしより可愛いのよ〜。女としてプライドが傷つくっていうか」
「はあっ?!」
 その時わたしは間抜けな声を発する事しか出来ませんでした。

【enjoyed the meal very much】

 最近の楽しみはご飯ぐらい…なんて、年頃の女の子じゃありえないけど、ホントそれぐらいしか楽しい事がありません。ヴィーノ達と喋りながら(主に愚痴)ご飯食べてるとストレス(主に副長関係)なんかも発散出来るし。
 食堂に入ると、レイの背中が見えました。赤服と金髪はさすがに目立ちます。一足先にランチ摂ってるみたい。誘ってくれればいいのに。ありえないけど。だけど、彼一人なら漂う上品な雰囲気も、あの作業着の整備士二人の所為で台無しです。てゆうか、何で先に行くのよ。許せない。
 そうこうしてる内にわたしの番が回ってきました。トレーの上に乗せるのは…今日はシーザーサラダです。最近ちょっとヤバいので…。
 開口一番文句言ってやろうと、怒ってる事を足取りでアピールしながら、レイ達のテーブルに向かいます。
「うえっ!マジでぇ!!」
 その時ヴィーノの間抜け声が響き渡りました。周りの人の何人かの視線が集まります。身体まで乗り出して。ホント恥ずかしいやつ…。
 でもわたしもその話に興味が出てきて、ヴィーノとヨウランに文句言う事をすっかり忘れていました。
「お疲れ、メイリン」
「お疲れ様っ」
 四人掛けのテーブルはレイの横が空いていたので、そこに掛けました。ヨウランは声をかけてくれたのに、ヴィーノはわたしに気付く様子もなくレイの話に真剣です。
「何なの?一体」
 わたしが怒った様にそういうと、初めてヴィーノがわたしに気付いたのか、あっ、メイリン、なんて言います。
「レイの話。凄かったみたいだぜ、アイツら!」
 ヴィーノの言い方では話が全然見えません。レイがそんなに喋るなんて、何かの前触れかなぁ、と思いつつ、わたしは本人に直接尋ねます。
「勘弁してくれ…」
 心底嫌そうな顔で、席を立ちました。待ってよ!さっきの話気になるのにー!!なんて嘆いた所で去り行く背中を止められませんでした。仕方無いので、整備士(しもべ)を問い詰める事にします。ヴィーノの話だときっと分からないと思うので、ヨウランに語ってもらうことにしました。
「あ〜…。さっきの戦闘、あっただろ?そん時…」

「何でだよっ!納得行くかよ!!」
「いい加減にしろ、シン。お前はこの作戦を失敗に終わらせたいのか?!」
 まぁ、それだけ聞いてればいつも通りのシンとアスラン隊長の衝突だ。ホントアイツはガキで天の邪鬼だからこういう事は日常茶飯事だ。けど、今回の原因が。
「もういいよ、シン。あたし、ちゃんと頑張れるから!」
 ルナも噛んでるって事だ。ってか、アレだ。最近やたらひどくなってきた例の。
「そんな訳に行くかよ!あぁ、やっぱり心配だ。おれがルナと出る!!」
「な…、お前が前に出ないでどうするんだ!今回の作戦はインパルスが鍵なんだぞ?」
「そんなのアンタかレイが行けばいいだろ!大体ローエングリンの時だってそんな事言って…」

 絶句しました。わたしがブリッジで艦内アナウンスやら、あの長ったらしい発進シークエンスやらをしている時にそんな事があったなんて。信じられない。こっちの気も知らないで。あれで一回舌噛んだんだからね。
 思わず力任せにフォークでサラダを串刺しにしてしまいました。
「そういや、帰って来た時も凄かったよなぁ!」
 どうやら、格納庫でも一悶着あったみたいです。
「アイツらいきなりボコンって開けたかと思ったら、ガーッと降りてきて、んで、ガバッッて…」
「ヴィーノ、うるさい」
 お子様か、あんたは。とりあえず擬音ばかり並べるヴィーノを黙らせて、またヨウランに話してもらおうと思います。
「またオレかよ…」
 ちょっと寂しそうな顔のヴィーノから、すいません…なんて言葉が聞こえました。

 まあ見てたけどな、全部。こっちゃMSの収容なんざ命懸けだっつぅのに、アイツらと来たら…。巻込まれて死ぬ、なんて珍しく無いんだぜ?

「そんな事はいいから。先行って、先!」
 
そんな事って、メイリン…。まあ、いいや…、あれはMSの収容作業の時だ。
「よ!お返り、シン」
 オレはガナーザクの方に居たから、いまいちよく分からんが、ヴィーノ達がインパルスに行ってたのが見えた。

「うん、そんな感じ」

 らしい。続けるぞ。いつも通りシンがラダーで降りてきて、拍手に迎えられた。ま、作戦は大成功だったみたいだからな。興奮したヴィーノがシンを褒めてた。てっきりアイツ、調子に乗るか、照れるかのどっちかだと思ったのに。
「そんな事よりルナはっ?!」
「ふえっ?」
「“ふえ”じやない!ルナは無事なのかよ!!?」
「あ、あぁ。ルナならお前より先に帰投して、あそこに…」
 何でオレがこの二人の会話を事細かに説明出来るかはさておき。訳分かんねぇ、みたいな顔した整備士陣を掻き分け、シンが血相変えてこっちに向かって来る。ちょ、待てって!オレが悪かった!じゃない、オレ何もしてねぇって!
 思わず両手を挙げてガードの姿勢をとるオレの横で。
「シンッッ!!!」
 花が見えたよ……。
「シン、シンッ!ずっと会いたかった…!!」
「あぁ、ルナ!!良かった、無事で!おれ、ルナに何かあったらどうしようかと…」
「シンのおかげ。戦闘中も、心にシンを感じてたから、あたし頑張れた」
 うわぁ…。
 言葉も失うわ、そりゃ。おい、レイ先行っちまったぞ。アスランさん、アンタも先行っていいと思いますよ。関わんねぇ方がいいっす。
 あほらし。こいつらの為にエイブス主任に怒られるなんざまっぴらだ。さっさと作業に戻ろうとした時だ。
「ああっ!怪我してるじゃんか、ルナッ!!」
 は?怪我なんてしてたっけ。オレが見た時はそんな物…。
「待ってろ、おれのルナに怪我負わせた奴を粉々にしてきてやるよ!!」
「待って、シン!あたしなら大丈夫だから、置いていかないで!」
 今にもインパルスへ駆け出そうとしてるシンをルナが腕にしがみついて必死に止める。え?待てよ、あれ……。
「ルナ…。分かったよ、じゃあ早く医務室に行こう!」
「ちょ、シン、歩けるからっ」
 シンはルナをひょいと抱えて格納庫からさっさと出ていっちまった。そん時見えたよ。ルナの右手の甲が、ちびっとだけ擦りむいてたのが……。
 ぶしっ。
「うわぁ!ちょ、メイリン、何すんだよぉっ!!」
 握り締めたドレッシングのチューブから勢い良く飛び出した中身がヴィーノに降りかかりました。無意識です。わざとじゃないです。悪気はありません。
「あぁ〜、すっぱ臭えぇ〜…」
「ま、アイツら自分の感情に素直な奴らだからなぁ。しょうがないっちゃ、しょうがないかもしんねーけど…」
 そういう問題でもないと思います。もぉ、ヴィーノ、うるさいったら!
 まるで休憩にもならなかった休憩ももうすぐ終わりです。早く行かないとバートさんがご飯を食いっぱぐれてしまいますから。食事を終えたわたしたちは食堂を出ました。すると。
「おねえちゃん!」
「あらアンタたち。お疲れ」
「中入んないのか?」
 噂をすれば影がさします。食堂の外の壁にもたれかかり、おねえちゃんが立っていました。ディスプレイでメニューを決める訳でも無し(まぁおねえちゃんのメニューなんて元から決まってますが)何ていうか、誰かを待ってる風です。はっ、まさか……。
「ルナーー!!」
「シーン!」
「もうっ、遅いのよ、シン!」
「ごめん…隊長に呼出しくらっててさ。抜け出してきちゃった」
「“きちゃった”じゃないわよ。…ふふ。ホント可愛いんだから」
「わぷ…!やーめーろーよっ。…てか、可愛いとか言うな!ルナの方が全然可愛いし…」

「…ごめん、ヴィーノ。殴らせて」
「はぁ?!何でだよ、意味分かんねー!」
「だから先に謝ってるじゃない。早く」
「ヴィーノ、悪い。殴らせろ」
「はっ?!だから何で!!」
「だから先に謝ってるじゃねーか、ほら」
「“ほら”じゃねぇよ、ぅわっ!やめ…、やめてーー!!」

 人目をはばからないバカップルと、意味不明なじゃれ合いを見せる整備士を遠目に、わたしは少なくとも二つ以上の意味合いを込めて、こう呟きました。
「…ごちそうさま」


【END】

【後書き】
ここまで読んで下さってありがとうございます。

キャラクタークラッシャー・シリィ、再び参上です。今回、バカップルということで、楽しく書かせて頂きました。シンがばかっぽい!“ルナマリアの右手の甲”というのは、スーツごとです。…大層な怪我ですね。嫌悪感を抱かれた方、申し訳ございません。てか、私の中のメイリンちゃんって、こんなにSっ子だったっけ…。おエス並み…。嫌悪感を抱かれた方、申し訳ございません。

はやさま、こんなアフォな駄文ですが、楽しんでいただけたら光栄です。リクエストありがとうございました!






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あきゅろす。
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