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呼んで欲しくて4(パーティーメンバー)/「TOV」

「相っ変わらず固えな、おまえは」

「………放っておいてくれ」

「そんなに深く考えなくても気楽に呼びゃいーじゃねえか。“エステル”って」

「出来てたらとっくに呼んでる。それが出来ないから――というか、君はだいたい何故あのような呼び名を……」

「別に。深い意味なんてねえよ。ただ、呼びやすい名前で呼んだ方が気持ち良いじゃねえか。だろ?」

「呼びやすい名前……」

「そう考えたら、お前にゃ無理なのかもな。あいつの望む名前で呼ぶのは」

「な――!? そんなことはない! 僕はきっと、呼んでみせるよ! 彼女のことを――」

「ユーリ、フレン、こちらにいたんです?」

「エステル、って!!」

「!!」

「ちょうど良いところに」

「フレ……、今――……」

「あ、え――、エステリーゼ様?! その、今のは――」

「“エステリーゼ”って、呼んでください」

「………………はい?」

「わたし、フレンが“エステリーゼ”って呼んでくれるのが好きなんです。だから、今まで通り呼んでください。“エステリーゼ”って」

「どうなってんだ……?」

「いやぁ、実はジュディスちゃんがね……」

「おっさん、いつからいたんだよ」


● ● ●

「そんなにこだわらなくてもいいんじゃないかしら?」

「ジュディス……」

「エステルは、彼が“エステリーゼ”と呼ぶのが不満なの?」

「!? いえ! そういう訳じゃ……」

「なら、私は別に良いと思うけれど。あなたのことを、あなたのご両親がくれた本当の名前で呼んでくれる親しい人が、身近に一人くらい居ても」

「本当の……名前……」


● ● ●

「……――って訳よ。これにて一件落着〜ってね」

「……ふうん」

「どったの、青年。まんざらでもない顔して」

「別に。なんでもねえよ」

「自分があげたあだ名をフレンちゃんに取られなくて良かった〜、みたいな?」

「さぁな」

「素直じゃないわね〜……。ま、おっさんの邪推ってことにしといてあげるわよ」



「フレン」

「なんですか、エステリーゼ様?」

「うふふっ」

「………?」

 ――まあ、いっか……。






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