あの日。。。 6 『な、何すんだよ!』 いきなり押し倒されて頭をぶつけてしまった。 「なぁ、理由教えろよ?」 『ふざけるな!離せ!』 物凄い馬鹿力で床に押さえ込まれているので身動きが全然取れない。 なんだか嫌なことを思い出す。 そんなことを考えていると男の手が俺の制服のボタンを外しだした。 抵抗しようと必死に手を振り回していると俺の首もとから取ったネクタイで一つに括られ片手で押さえられてしまう。 完全に抵抗する事ができなくなってしまった俺。 『くそっ!止めろ!…ひゃっ!』 ひたすら暴言を吐いていると男の手が俺の素肌に触れた。ビックリして上擦った声が出てしまった。 脳裏にはあの夏の日の記憶が蘇る。 『いやだ!離せ!離せ!』 恐怖が身体中を駆け巡る。もう、頭の中には逃げる事しかない。 そうして、じたばたしていると男の手がピタリと止まった。 「おい、そんなに暴れなくても良いだろ。痛くしねーから。」 男の言葉はもう耳には入ってこない。ただ、ただあの日の記憶が全身を支配する。 俺は我も忘れてただ暴れるしかなかった。 「お、おい。少し静かにしろって!おい!」 パン! 教室の中に乾いた音が響いた。 その少し後に右頬にじわりと熱が広がっていった。 そして、打たれたのだと気づく。 「わりぃ。お前が手止めてるのに暴れるから。つい。」 気づかなかった。手を止めていたなんて。頭中には恐怖しかなく何も分からない状況だった。 ただ、怖かった。 俺の中の恐怖はまだ続いていて体の震えが止まらなかった。 「おい、大丈夫か?スンゲー震えててんぞ。」 そう、男が俺に触れてこようとするがそれにさえ震えが大きくなるばかりだ。 それを見て男が悲しそうな顔をした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |