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あの日。。。

その男はこちらを見て驚いた顔をしている。
俺は面識はないはずだがあちらはあるようだ。
今の俺には人の顔なんて皆同じ敵意を含んだ顔にしか見えないから覚えることが出来ない。
いや、しようとしないだけか。
そんなのどちらでもいい。

『アンタ誰?』

少し棘のある言い方だがこれが正解だと思う。見ず知らずの奴に優しくするなど所詮無理な話だ。

「命の恩人にその言い方はないんじゃないか?」

男は含み笑いをしながらこちらへと近づいてきた。これには流石に体を起こす。

『命の恩人?アンタあの夜の奴か?なら、俺はアンタの事を恩人だなんておもってない。』

助けてもらう必要が元々なかったのだから恩人なんて思う訳がない。

「ビビりちゃんが良く言うぜ。その生意気な口塞いでやろうか?」

『なっ、』

別に俺はビビりな訳じゃない!そう言おうとしたが話すのがめんどくさくなって止めた。
それに何処のどいつだかも知らない奴と話していも意味はない。
ま、制服はウチの学校のだからここの奴なんだろうけど。

そして、ソイツは俺の直ぐ横まで来ると座り込み俺と目線を合わせる。
その時見た目は興味津々というような輝きを放っていた。

「なぜ死にたいと思う?」

聞かれると思ったことを本当に聞かれた。

『別にお前に教える必要はない。』

「つれない事言うなって香澄ちゃん。」

なぜこいつが俺の名前を知っている?
いや、誰かに聞いたのだろうがいきなり下の名前を呼ぶなんて、なんて馴れ馴れしい奴だ。

「教えてくれないとちょっとイタズラするけど?どうする?」

そう言うと男は完全に気を抜いていた俺の事を床に押し倒した。


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