あの日。。。
31
「落ち着いたか?」
優しくかけられる紅臥の声。
『……あぁ。』
掠れた俺の声。
二つの声が響く部屋には先程の泣き声と優しく「大丈夫だ」と何度も呟く音は消え、心地良い様な気恥ずかしい様な静寂に包まれていた。
ふと、紅臥に八つ当たりについて謝っていなかったことに気付いた。
泣いてる時もずっと抱き締めて、背中を優しく擦っていてくれた、お礼も言いたい。
『……八つ当たりは、ごめん。……泣いてる時は、…ありがとう。』
そう言って俯く。
それは、気まずさからなのか恥ずかしさからなのかはよく分からないが。
「何で、謝ってんだよ。アレは俺が軽率だっただけだ。お前がキレて当然の事を言ったんだよ。」
『そっ、そんなこと……ない。』
何でアンタがそんな申し訳なさそうな顔すんだよ。
悪いのは俺じゃんか。
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