隷属 -I'm Your SLAVE-
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俺と葉月は幼なじみだ。
俺は、クラスの中でも常に中心にいるようなタイプだ、と自分でも思う。
そんな俺とは逆に、葉月はおとなしく、口数も少ない。
そして………かわいらしい。
俺たちが通う学校は、幼稚園から高校まで繋がっている男子校で、俺と葉月は幼稚園と小学校、中学校の12年間、ずっと一緒だった。
周りからすれば、全く逆のタイプの俺と葉月が一緒にいることが不思議らしいが、俺たちはお互いの存在が居心地良かった。
しかも、生徒は全員、家から通っているが、俺と葉月は家も隣だったりする。
文字通り【ずっと一緒】だったのだ。
そんな俺たちの関係が変わったのは、高校1年の春だった。
中学生になり、思春期を迎えてからの葉月は【かわいらしい】というよりは【綺麗】になった。
色素が薄いために、肌は白く、髪も薄い茶色、目も優しそうな薄茶。
皮膚の薄いところは、ほんのりと赤い。
当然、そんな葉月を周りの男たちが放っておくわけがない。
連日、葉月は告白で呼び出された。
相手は同級生だったり、先輩だったり。
たまに、下級生までが葉月を呼び出す。
だが、葉月は受け入れない。
そう思っていたのだが……
「ねぇ、七海。僕、3年の椎名礼先輩と付き合うことになったよ」
高校1年の春、頬を染めた葉月がそう、報告してきた。
俺は葉月が好きだった。
小さい頃からずっと一緒だった葉月が、俺から離れて他の男を受け入れるわけがない、そう思っていた。
それなのに。
その日は、実感がわかないまま葉月と一緒に帰った。
だが、翌日の放課後。
俺は先生に呼び出されて、教室を後にした。
30分ぐらいで用事は終わった。
だが、葉月を待たせてしまっている。
そう思って急いで教室に向かった。
「?」
教室の電気が消えている。葉月は、先に帰ったのだろうか。
不思議に思って扉に手をかけたところで、中の物音に気づいた。
「クチュッ…ん…せんぱ…」
「葉月、かわいい」
「んゃ…あ、ん」
「もっと…葉月、もっと…」
夕焼け色に染まる教室の中、葉月と3年の中でも人気のある先輩が抱き合ってキスをしていた。
二人の様子は窓から差す夕日のために陰になってしまい、よくはわからなかったが、葉月がその先輩に甘えるように腕を伸ばしていることと、先輩のキスに必死に応えていることはわかった。
葉月が他の男に奪われた。
そう理解した途端、俺の頭は真っ白になった。
気づけば葉月の腕を取り、帰路を凄い勢いで歩いていた。
「ねぇ! どうしたの七海! ねぇってば!」
俺の歩幅についてこられない葉月は小走りだが、そんなの気にしていられない。
俺は葉月を連れたまま俺の家に入り、自室のベッドに葉月を押し倒した。
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