[携帯モード] [URL送信]

アンタとオレの関係
ペアの人 -01

なんだか、暖かい。


微かな振動とエンジン音………ああ、バスに乗ったんだっけ。


あれ、でもこんなに暖かかったっけ??


そう思ったところで目が覚めた。



俺の目の前には、おそらく前の席の背もたれ。

視界は横90度。

左頬の下には暖かいもの。

腰の上には手。


…どうやら俺は、誰かに膝枕されてるらしい。

それにしても、この膝枕固い…。



「起きたか?」


脳が完全に覚醒する前に聞こえた声に、俺は律儀に返事をした。


『ぅ…ん』

「………かわいいな」


いや、意味わからん。

っていうかさ、

『だ、れ?』

「もう俺のこと忘れたのか?」


ひどいな、と愉悦を含んだ声。


あれ??知ってる人?

そこまで考えて、急に頭が冴えた。


俺、他学年に知ってる人って……僅かなんデスが。


勢いよく起きあがると、おっと、とさして驚いた様子もない声。

起きあがった時に肩から座席に滑り落ちた上着は俺のじゃない。


『ア…ンタ……かいけ…むぐ』

口を押さえられた。

「名前で呼ばねぇとその都度キスすんぞ」


それは、イヤだ。


『夾センパイ』

「チッ……不本意そうだな」


えぇそりゃもう。


『なんでアンタがココにいるんですか?』

「そりゃお前、ペアだからだろう」

『なんの?』

「交流会の」

『……誰と誰が?』

「俺とお前が」


………………うっそーん。


『ペアチェンジ「できねェのは知ってるよな?」………』


2日間よろしく、と笑うソイツを見て、俺は現実逃避したくなった。


『………寝る』

「Σまだ寝んのか!?」

『次に起きたらきっと隣には違う人がいるハズ』

うん。きっとそうだ。

「……何が不満だコラ」


そう言いながらも、今度は窓に身体を預けた俺に、再び上着をかけてくれる夾。


コイツ、意外にイイ奴?


…………俺の身体を自分の方に引き寄せずにほっといてくれたら、だけど。



6/77ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!