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アンタとオレの関係
コミュニケーション

今、俺は兄貴の運転する車の助手席に座っている。

さて、悠樹にぃとどうやって仲良くなろうかな?



「遼」

(ビクっ)『うん?』

「お前さ・・・・・・」

『う、ん・・・・・・』


何だなんだ!? 悠樹にぃは何を言おうとしているんだ?
この重苦しい空気!
俺、何かやらかしたっけ?





「荷物、多すぎないか?」

『・・・・・・荷物って、後ろのアレ?』

「アレ」


振り返って、後部座席を確認。
そこには、この夏休みの必須アイテムが積まれている。


お気に入りの服やバッグは、厳選したから量は少ない。
ゲームやらウォークマンやらの小物は、一つひとつは小さいけれども、意外と嵩張る。

しかし、それらとは別に、明らかに重量感のある荷物の一群があるのは確かだ。


「外国とはいえ、家族のいる所に行くんだから、そんなに荷物はいらないだろう?」

『だって・・・・・・』

「今度からはもうちょっとちゃんと考えて荷造りしろよ?」


お、俺だって色々考えて荷造りしたもん!


『うーーーー』

「ハァ・・・・・・で?」

『ん?』

「あの一番重そうなのには、一体何が入っているんだ?」

『・・・・・・夏休みの課題』

「・・・・・・あんなに?」

『と、勉強道具』

「あんなに?」


だって、うち、進学校なんだもん!
一学期だってかなり苦労して、今のクラスにいるんだからね!


ということを悠樹にぃに力説したところ。


「フランスまで行って、果たしてあれだけの量をやると思っているのか?」


さすが俺の兄貴さま。俺のことをよーく分かっていらっしゃる。


「本当に、次からはきちんと考えて荷造りしろよ? あの荷物は、俺の家で少し減らすからな」

『待って待って』


慌ててストップをかける俺に、悠樹にぃは前を見たまま不審そうな顔。


「なに?」

『俺ね、勉強よくわかんないの』

「うん?」

『でもね、あの量やっとかないと、ちょっとまずいかなーみたいな』

「それで?」

『フランスまでのフライトって、10時間以上あるよね?』

「そうだな」

『で、悠樹にぃは頭が良い』

「まぁ、高校1年生の範囲は分かるけど」

『時間がたっぷりあって、先生もいて、勉強道具もある!』

「・・・・・・」

『俺に勉強を教えてください! お兄さま!』

「・・・・・・つまり、遼はこの勉強道具の全てを機内に持ち込むと」

『お願いします! お兄さま!』

「お前が作業する時間があるもの限定にしてくれ。俺も、大学のレポート書かなきゃいけないんだからな」

『了解です!』

「俺は厳しいぞ?」

『承知の上であります!』

「なら良し」

『ありがとう!! 悠樹にぃ大好き!』


ちょっと冷たい感じの話し方をするから、苦手意識が抜けなかった悠樹にぃだけれど、やっぱり優しい俺の兄貴でした。



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