アンタとオレの関係
待つ時間
結局昨日、遼は帰ってこなかった。
いや、メールくれたから帰ってこないことはかなり早い段階で知っていたんだけど。
帰ってこないことを教えてくれたからといって、相手がアイツじゃ安心も何もあったもんじゃなくて。
キスはしたんだろうな、とか。
抱き合うぐらいまではしてんだろうな、とか。
まさか、セックスかそれに準ずる行為はしてないよな、とか。
とにかく、嫌な想像ばかりが膨らんで、それと比例して、黒い感情が胸に広がっていく。
心臓がギューってなって、胸をかきむしりたくなる。
いますぐにあの細い身体をこの腕で抱きしめて、良い香りのする漆黒の髪に顔を埋めたい。
少しばかり高い体温を感じて、息づかいを聞いていたい。
そんな気持ちばかりが先に行ってしまって、現実が追い付かない。
そんな状態だからか、昨日の夜は全くといっていいぐらい眠れなかった。
いつもなら、少しでも遼が足りなくなった夜は、無断で部屋に入っていって、眠ってる遼を抱きしめて眠るんだけど、今日はそれも叶わない。
時計の音ばかりが耳について、あと何時間したら遼が帰ってくるのか、そんなことばかり考えていた。
でも、そうやって過ごしている間に限って、時間はいじわるなぐらい進んでくれなくて。
焦燥感にも似た感情と、黒く渦巻く嫉妬心を抱えながら過ごす夜なんてものが、こう頻繁に自分に訪れるものだなんて、1年前には想像すらしたことがなかった。
眠るに眠れない夜を横になって過ごすのも微妙だと思った俺は、迫ってきた期末試験に向けての準備をして過ごすことにした。
ぶっちゃけると、俺は人よりも努力せずに良い点数が取れる方だと思う。
だけど、遼は違うみたいだ。
進学校であるここは、小テストなんてものがざらにあるが、遼はその度に一生懸命に勉強している。
だから、これから始まるであろうテスト勉強を一緒にするためにも、少しでも俺が先に理解しておいた方が良いだろう。
……じゃないと、天王院のところに教えてもらいに行こうとか言いかねない。(←犬の勘)
そうやって3時間ぐらい過ごしていたら、さすがに眠くなってきて、俺はやっと眠ることができた。
目が覚めて、遼がいたらいいな。
◆◇
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