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アンタとオレの関係
号外

翌朝。

首筋に絆創膏を貼った俺は、いつものメンバーで登校した。


朝は朝練があるから、いつもより1時間早い登校である。


校舎に近づいていくと、何やら騒がしい。



「ごうがーい! ごうがーい!」


それを聞いた健ちゃんが眉間に皺を寄せた。

「ありゃ新聞部の号外だな」

「じゃあ正規の号外だね」

と安心したような蒼太。

『………正規じゃない号外ってあるの?』

「親衛隊が勝手に作っちゃう場合があるんだよ」

それを思いだしたのだろうか。迷惑そうな顔で和巴ちゃんが教えてくれた。

「親衛隊が作った号外は過激だし、デマが多いし、ウルサイ」

そう文句を言うのは、例の如く、俺に貼り付くわんこ。


そんなやりとりをしているうちに、新聞部員が配る号外が見えてきた。

表紙は2枚のでっかい写真。

その上に、これまたデカデカとした文字。


俺たち一行に号外を渡してきた新聞部員は、もの珍しそうに俺の顔を見てきた。


…………なんだよ。


俺の気が逸れていたその時、有志が俺を力一杯抱きしめてきた。

ちょっ………

『ゆーし……く、くるし…』


ぎゅううぅぅぅ……


なんで! 苦しいって言ったのに力が加わるんデスか?!


そこに、おっそろしい顔をした健ちゃんが登場。


「遼。コレ、どういうことだ?」


健ちゃんによって目の前に突き出されたものを見てみると、それは先ほど新聞部員に手渡された号外だった。


そこには

【速報!! ついに決着!? 転入生はタチだった!!?】

の見出し。


…………転入生って、俺しかいなくね?


そう思って、その下の2枚の写真を見てみれば。

それは両方とも、昨晩の写真。

一枚は、俺が昨晩の彼を抱き止めたであろうショット。

もう一枚は、昨晩の彼が俺の首筋に顔を埋めているショットだ。


『これが……なにか?』

「【なにか?】じゃねぇよ! なんでお前、梅原と抱き合ったりキスしたりしてんだ!!」

『んな!? 抱き合ってもいねぇしキスもしてねぇ!!』

「じゃあこの写真は何だ!」

『飛びついてきたのを受け止めたところとあっちが俺の首の匂い嗅いでるところだろうが!!』

「なんでそんなことになった!」

『呼び出されたんだよ! だいたい、梅原って名前も今知ったわ!!』


なぜだかヒートアップする俺と健ちゃんの口論。

ってか冗談じゃないぞ!!


そんなときに和巴ちゃんの冷静な声が響いた。


「2人とも、少し落ち着いたら? ここは目立つから、とりあえず教室に行こうよ」


その言葉に周りを見回してみれば。

登校中の生徒たちが好奇心いっぱいの目で見ていました。





いやん。



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