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アンタとオレの関係
-09 (SIDE KYO)

それから10分ほどして、鬼ごっこ終了の放送が流れたので、俺は押さえつけていた奴を解放してやった。


『……お互い、パートナーが戻ってこなかったな』

「どうしますか?」

それは俺が聞きたい。

このまま帰ったら遼がいたとかなら良いが、いなかったら最悪だ。

途方に暮れた俺たちだったが、陸上部だというソイツがある一点を指さした。

「帰ってきた!」

見ると、大きな人影が1つ。

…………1つ?遼、は?

遼の姿が見えず焦った俺だったが、だんだんと夕方の視界の悪い森の中をこちらに向かってくる大きな人影が何かを背負っていることがわかり、安堵した。

「コイツ、凄い脚力だな」

そう言いながら遼を背負って現れた陸上部の奴が言う。

『ああ。俺もそれが原因で苦労した』

「それにもの凄く自由な奴だ。散々人を走らせておいて、終了のアナウンスが流れた途端に【疲れた〜】って背中に飛び乗ってきたぞ」

しかも移動中に寝やがったし、と笑うソイツは優しい目で遼を見た。

『迷惑かけたな。ソイツ、貰うわ』

俺がそう言えば、その陸上部員はやれやれという表情で遼を俺の背に乗せてくれた。

その動かされた衝撃で遼が目を覚ました。

「んん?」

……頼むから耳元でそんな声出さないでほしい。

『おはよう、ねぼすけ』

「あぇ?きょう?」

『おう』

「……あのたのしい人は?」

「誰が楽しい人だ」

そのツッコミはごくごく当然だと思う。

だが、遼は聞いていなかったのか、遼を背負ってきた奴の方を向いて

「いた〜♪たのしい…ひ、と………」

そう言いながらも眠りの世界へと旅立っていった。

………怒られるぞ、お前ι

「随分なつかれたみたいだね?」

「ああ。しかしひどくないか?なんだよ【楽しい人】って」

『遼はこの交流会を楽しみにしていたからな。アンタと走り回れて楽しかったんだろ』

「………俺、託児所に勤めた覚えはないんだけどな。。」

とりあえず、もの凄い苦労をかけたことはわかった。

……少し助けてやるか。

『学年、クラス、名前、ペアの相手。全部教えろ』

「は?」

『いいから』

「2年G組、陣谷英、でこっちが3年F組の鈴木望先輩」

え、デカい方が年下だったのか!?

『……2Gの陣谷英に3Fの鈴木先輩ね。覚えておく』

「なんのために?」

『遼が世話かけて、陣谷は疲れただろ。だから、夕飯後のイベントは順番早めにして早く部屋に帰って休めるように裕行に頼んでおくよ』

俺がそう言えば、陣谷は驚いたような顔をした。

「あ、りがと、な」

『いいえ』

そして俺たちはホテル前の広場へ向かった。



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