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アンタとオレの関係
-08 (SIDE KYO)

ついに捕まってしまった。さすがは陸上部だ。

でも、ハチマキは取らせない。
そう思って俺は暴れた。

ふと、遼がこちらに戻ってくる姿が目に映る。

……何する気だ?

そう思って見ていると、遼は俺のハチマキを取ろうとしている2人のうち、体格の良い方の肩に掴みかかった。

「夾から離れろ!」


……ヤバいだろ、その台詞。


遼の言葉通り、そいつは俺から離れ、遼を捕まえようと追いかける。

俺のところには鬼は1人しかいない。
これなら楽勝だ。

一気に間接技を決め、相手の腕を捻り上げて地面に押さえつける。

この鬼ごっこの少し特殊なところは、【ハチマキを取らなければいけない】というところにある。

つまり、力がものを言うのだ。だからこそ、鬼側も徒党を組んで挑む。

鬼がそういう苦労をする分、逃げる側にももちろんルールがある。

【ハチマキは見えるところにつける】

これに関しても遼と相談して、俺は足首に、遼は二の腕に結びつけている。

なぜ足首ではなく二の腕なのか。
それは、遼の動きを見ればすぐにわかることだった。


「降りてこい!」

『やーだよー』

遼は今現在、木の上にいる。あいつは腕力はあまりないらしいが、恐ろしいほどの脚力の持ち主だ。

思いっきり地を蹴って比較的高いところにある枝に掴まり、反動を利用してその枝の上に乗ってしまった。

いざという時、遼は高いところに登って難を逃れるため、足首にハチマキをつけるのは自殺行為というわけだ。

陸上部員はなす術もないらしく、俺の方へと戻ってきた。

…………やばいな。

どうしようか、そう考えている時に、

トスンッ

と軽い音がした。
遼が木から飛び降りた音だ。

『俺の相手がまだ途中でしょ?オニーサン?』

思いっきり挑発してるしι

陸上部員は再び遼の方へと向かっていった。今度は、遼は逃げるらしい。

忽ちのうちに視界から消えてしまった。



………………どこ行く気だ、アイツ。




パートナーである俺を置いて。



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あきゅろす。
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