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愛欲バロメーター



雲雀さんって近寄りにくいけど格好いいよねと女子が騒いだ。彼は真面目な風貌と整った容姿から絶大な人気を得ている、ただ彼は気づいていながら脳内では全く違う事を考えている。
そう姉妹企業の企画部である
────────住吉奏だ

皆は彼が奏を溺愛している事を知らない、そもそも彼が群れるなんて論外だからだ。そして仕事と言えど奏から目を離す事…つまり離れる事を極端に嫌っていた


「(…奏なにしてるのかな、どうせまたあの跳馬がちょっかい出しているんだろうけど)」
パタンとファイルを閉じる恭弥の表情は酷く歪みきっていた。彼の中では奏は絶対的君主なのである

「(帰ったら…今日は土曜日だ)」
顔からはわからないが恭弥はぱぁああと明るくなった。なんたって土曜日とは唯一奏とあんな事やこんな事を出来る日だからだ。脳内が一気にピンクへと変貌を成し遂げた


「恭さん」
「……なに、今いいとこなんだけど」
「いや、その…はとこさんがお見えです」
「早く通して」
「あっはい」

「恭ちゃん仕事中にゴメンね」
「どうしたの?」
恭弥は素早くリモコンでガラスの壁を曇らせ、草壁を追い出した。


「お弁当忘れてたから」
「ありがとう」
笑う奏に恭弥は爆発しそうな欲望を理性の箱に押し入れた

「どうかした?」
「奏、今日土曜日って知ってた?」
「!…あ、あ〜忘れてた」
いきなり目を泳がし始めた奏に恭弥はギュッと抱きしめた

「恭ちゃん?」
「今脳内で奏犯してた」
「!いや…俺どんな反応したらいいの!?」
「ピンクの乳首舐めて吸ってしゃぶって下半身パンパンにした奏を介抱してる最中だったのに」

「来ない方がよかった?」
「また企画室でする?」
「し な い!」
「そもそも週1なんて僕が我慢出来るはずないでしょ」
「じゃぁ月イチだよ」
「…………殺すつもり?」
欲を散らそうと深く溜め息をつけば奏の体がピクリと反応を示した

「…………………」
「…………………………」


「…今誘ったよね?」
「誘ってないっ!」
「……………夜、覚えてなよ」
「ひぃ!」
艶っぽい表情で唇をなぜられ奏はまたピクリと反応をした。恭弥はもう意固地のように欲望と紛糾している

「恭ちゃん」
「なに?」
「キスならしてもいいよ」
「!…………僕がそれだけで終わると思ってるの」
恭弥は無自覚に誘う奏の言動に金鎚で頭を殴られている衝撃にかけられる


「……………………」
「奏?」
「だって、キス…したい」
拳銃が頭に貫通した衝撃だった。薄い理性は完膚なきまでに千切られ上目遣いと顔を染める恋い焦がれる相手に恭弥は眩暈を覚える前にキスをしていた。手を絡め息さえ出来ないくらい激しいものに、第三者のように餓えてるなと考える自分がいた

離れた、瞬間咳き込む奏に再び口を塞ぎ窒息死させる勢いで舌を絡ませ手は服の中を弄った、妄想通りにしゃぶる恭弥は真っ白な肌にうっとりと魅入っていた


「しゅっ!」
「しゅ?」
「しゅ、すとーっぷっ!」
ぐっと抑える肩に最後とばかりチュッと唇をくっつけ奏のシャツを整えた、最近狼化するのが早い気がするのは気のせいだろうか

「家に帰ってから…ね?」
「…わかってる」
渋々離れる恭弥は熱っぽい瞳を散らすのに必死だ。なのに奏は恭弥の手をギュッと握った

「………………奏?」
「恭ちゃんは嫌?」
「嫌な訳ないでしょ」
「なら、よかった」
肩に頭を乗せた奏に恭弥は欲望が渦巻くのを必死に耐えた




愛欲バロメーター
(僕をこんなにした罰は大きいよ)







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