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あまいひかりに似たひと



翠、最近頭から全く離れない。

「しーらーいーしっ!おはよーさん、起きてまっか〜?」
「うるさい、耳元ど叫ぶなや」
「せやかて白石、ずっと無視やからなぁ、寝とるんかと思たわ」

「なんで俺が寝るねん、ちょっとぼーっとしよっただけや」
「せやかて白石がぼーっとするん見た事ないからなぁ」
どういう意味や、と振り返り言い返そうとすればおでこをくっつけられて声が出なくなった

「ん?熱は無いな」
「…………なにしてんねん」
「いや様子可笑しいから風邪かと思たんや」
「大丈夫や、放っといてや」
「蔵ノ介を放っといてられんわ、何でも俺に言いや?」
「!……言えるかドあほ」
「なんやとーっ!白石のドあほがもう心配したらんさいな」
「せんでええわ」
「なぁなぁ白石〜なんでそんな怒ってるん?ちゃうな〜疲れとるんか」

「うっさい」
「そない冷たいにせんでえーちゃうか?」
「はいはい」
白石は溜め息混じりで呟きテニスの日誌を開いた、それを翠はじっと見ていた。


「もうすぐ大会やからピリピリしとるんか?白石やったら大丈夫や」
「………なにが大丈夫やねん、見たこともない癖にいい加減な事言いなや」

「夜遅ぉまで自主練しよんやん、そないなまで真面目な奴がさっさと負けるはずないやん」

「!!!!………(なんで知ってんねん)」
「プレッシャーごっついんは分かるわ、白石蔵ノ介の名前知らん奴おらんからなぁ、せやかて白石は白石なんやし焦ってもしゃぁないやん?」

「いつ俺がテニスで悩んどる言うた?俺はいつでも完璧や」
白石は顔をそらした、理由はきっと赤くなっているからだろう。だがそれに翠は気付かず「さよか」と言って笑った



「白石〜、お前好きな奴おらんの?」
「………………………は?」
「いや、な?ちぃの友達が白石の事好きらしいんやけど白石今彼女おらんやん?せやから好きな奴おるんか思て」

「……………おる」
「え!おるん?嘘や!誰々!!!?」
「絶対言わん」
「可愛い系?綺麗系?小悪魔?清純?」
「うっさい、俺が誰好きや言うてもええやん、なんでいちいち翠に言わなアカンねん」

「…………ま、そやわな…」
ストンと座り沈黙が流れた。翠はなにやらぼーっとし頭を傾げながら考えていたが白石はそれどころではなかった

好きな人聞いた

彼女から=協力

俺別に何も思われてへん

暴言

納得

期待値ゼロ、寧ろ嫌われた

俺のモチベーション下がる

病み気入った


沈黙に耐えきれず窓の外を見た。ここら辺で謙也来てくれたらどれだけ救われるかと思って見るも、目に映る財前と紛れもない救世主に仕立て上げようとした人物を見つけ溜め息が出た。

瞬間。
ガタンッと音がして振り返ると真剣な目をした翠と目が合った

「わからん!」
「は?」
「白石は関係ない言うけど俺はなんか言われて嫌やった」

「???」
「でも何でか分からん、白石には他人とか言われたないねん」
「なにが言いたいんかわからん」
「俺かてわからん。せやけど白石は俺ん中で一番なんや」
「??(一番ってなんのや?)」


「せやからな、俺も白石の一番になりたい」


?なんや、どういう事や?コイツの話は感情論ばぁでよぉ分からん。つまり俺が翠に他人やから言えるかいやと言ったと思われて、それが何や嫌で胸に引っかかって悩んだ結果、俺は翠にとって一番やと?んでそれだけやったら嫌やから俺もお前の一番にしろやと言う事か?どないな心情してんねん

どんだけエゴイズム通して生きるつもりやねん。その前に俺の中はなぁ、残念ながら


お前で一杯なんや


もう入らんくらいにな、せやから今さらんな事言われてもな、入らん。好きや自覚してからなんぼ時間過ぎてると思てんねん


「白石聞いとるか?」
「聞こえとる。どないなったらそんな返し返って来るんや?予想外過ぎて一瞬なによるか理解できんかったわ」

「俺かてわからんわ、やけど白石になんか置いて行かれたみたいで嫌や、白石は俺の事嫌いか?」


「何がやねん?幼稚園から一緒におるんに好きか嫌いか分かれドあほ」
「俺は白石好きやで?だから白石の好きな奴は気になる」

「もう、うっさい奴やな黙っとらんかい、俺は相手がこっち向いてくれらん限り言わん!分かったか?」
それに翠はまだ不服なのか納得したようには頷かなかった。

ドあほが。
俺の好きとお前の好きはちゃう
そんなリスク負えるほど俺は図太い神経持ってへん、寧ろ繊細なんや。嘘やないで?翠が好き言うた時心臓ヤバかった。乙女か、とか言いなや。俺はずっと翠が好きなんや


俺がお前に好きな奴誰か言うたら完璧告白になってまう。そんな勝ち目のない勝負…出れる訳ないやろ?

このままでええ思う反面、どないかして自分のもんにしたい思っとる…自分でも分からんわ



もう、どないかしてくれ


あまいひかりに似たひと
(素直に気持ちを伝えられたらどんなに幸福な事だろう)






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