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きみだけが知っていればいい


1つわかった事がある。
雲雀さんは…短気だ、それもかなりの

「ちょ、どこ行くん!?」
「気分が悪い、早く戻るよ」
「えっちょ、おい!」
そして決めたら絶対に折れない。いわゆる傍若無人、利己主義と言うヤツだ



「どないしたんや雲雀さん」
雲雀の早い歩幅に合わして必死に駆け寄ると雲雀はむっすーとしていた

「なんやその顔可愛いで」
言った瞬間睨まれて「すいません」と謝っておいた


自室(仮眠室)に戻れば雲雀は不機嫌そうに顔を歪ませていた。
「なんかあったんか?」
「………群れは嫌いなんだ」
「は?」
「群れてると咬み殺したくなる、それに僕の翠を触ったからムカついた」
雲雀さんは案外、独占欲が強い。そして思った以上に不明だ

「えっと…その、すいません?」
「膝枕して」
「はい!?」
「眠たい、早くしなよ」
「あ、はい」
あぐらをかいて座れば雲雀の頭が乗った。自然と右手で頭を撫でれば雲雀と目が合った


「なんや?」
「………別に」
少し顔を逸らす雲雀に翠は頭を傾げる。
追加するなら雲雀さんは割と可愛いになる、面倒見も悪くないし居てる分には心地良い少しツンデレ傾向があるのかそれをなんか可愛いなぁと思ってしまう。まぁ本人に言えば絶対にトンファーが降ってくるのでよしておこう



「雲雀さん、寝たんか?」
ゆっくり覗けばまた端麗な顔をしていた

「えらいべっぴんさんやなぁ〜」
惚けるように呟けば口が動いた

「うるさい」
「あ、すいません」
「………………」
「どないしたん?」
「クローム髑髏とキスしたらしいじゃない」
「あぁ、あれは挨拶らしいし…不意打ちやったから」
「君は挨拶だったらなんでもするの?」
「いや…そうゆう訳やないけど」
「あ、そう」
「雲雀さんヤキモチやきよるんか?」
「バカじゃないの」
「冗談や」
にっこり笑う翠に雲雀はすっと翠の頬に手が伸びていた


「?」
「僕もキスしたい」
「は!?」
「構わないだろう?」
「いや、え!?ちょっ」
ギュッと目を瞑れば軽く唇に柔らかい物が押し付けられた。ゆっくり目を見開くと雲雀は少し満足したように口端を上げた

「おまっ!なにしとんねんっ」
「なにってキス以外ないでしょ?」
「そんな問題ちゃうわ!」
きゃんきゃん喚く翠に雲雀は抱きしめた。
「…どないしたん?」
「別に」
「なら早よ寝り」
「、分かってる」
翠は膝に乗っている雲雀の髪を撫でた。寝るのを待った、やはり意識はしていなかったが幾分か自分には世話役の性分が焼き付いているようだ


「寝たんかぁ?」
「うるさい」
「…すいません」
ぼへーと外を見る翠に雲雀は少し目を開いた。
「?なんや」
「退屈なの?」
「いや、まぁ…退屈やないって言ったら嘘になるな」
「そう」
雲雀はそう言うだけでまた寝始めた

「(ね、寝るんかい!)」
内心ツッコミを入れるが雲雀は夢の中だ。さらさらなびく髪に指を差し入れた

「本間べっぴんやなぁ」
ぷにぷにと頬をつついてみたりするが起きない雲雀に完全爆睡したなと思った
(柔らかいな、なんか意外や)

しばらくすると春特有の暖かい日差しに翠は睡魔に襲われ膝に雲雀を乗せたまま目を瞑った


ぱちくりと開けた瞳には翠がいっぱいいっぱいに映っていた
「!」
目の前の寝顔に肘を立て唇をチュッとくっつけた。一瞬翠がカクンと首を上下させたのにビックリしたが起きる事は無かった

「、かわいい」
少し口端を上げればさっと草壁が入って来た。


「誰が入って良いって言ったの?」
「あ、申し訳ありません…ですがクロームが翠さんを待っているとの事で…お呼びしようかと」
深々と頭を下げる草壁に雲雀は睨みつけ草壁は冷や汗を流した

「見て解らないの?」
「で、では日を改めるように言ってみます」
「翠は僕のものだって言っといて」
「は…はい」
一瞬呆気に取られた草壁は返事が少し遅れたがまた深々と礼をして襖を閉めた


「……気に入らないな、君は僕のものなのに」


きみだけが知っていればいい
(恭さんが自ら群れるなんて…有り得ない)







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