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可憐少年
天然と女王様とタラシ

「あのさ、」
そう言われて振り向くと手を握っている事に気づき真っ赤かになった颯真はパッと手を離した


「悪い」
「いや別にいいけど、ノートありがと助かった」
はいっと返せば颯真はそれを受け取った。それで終わろうとすれば彗星に止められた

「ここ多分計算間違ってる」
「え?どこ」
ノートと教科書を広げルーズリーフに計算式を繰り広げた「多分だけど、ここにこれをかけるんだと思う」と完璧な等式しかも説明付きで成績優良者の颯真も呆然とした


「本当だ」
「あってた?そうちゃんの説明見て解いたんだけど、わかりやすく説明出来てるよね」
再びありがとうと礼を言ってノートを返せば颯真も「いるとき言って貸してやるから」と目尻を緩めた


「そうちゃん絶対笑った方がかわいい」
にこーっと突拍子もない事を言う彗星に颯真は顔を赤らめた。


「良かったらアド教えて」
「え?」
「いやだったらいいんだけど…」
「違う!!!」
「え?じゃぁ教えて」
携帯を出すと颯真は少し焦って出した。



「ん、ありがと連絡する」
「俺も…れ、連絡するから」
「うん。いつでもして来て」
にっこり笑えば颯真は目を泳がせながらこくりと頷いた。端から見ればあの無口の女王様が!!と衝撃的なシーンだ

王子こと淡宮彗星はまたもやキラースマイルで犠牲者を出したと噂をたてられた
2人ほどの美形になれば少なからずファンクラブがあり、キャーキャー騒ぎ窓際に座る彼らに視線が集められる。でもそんな視線に全く気づかない



「そうちゃんの髪の毛綺麗」
「それ昨日も言った」
「触らして」
「は?」
「触られんの嫌?」
「……ここじゃ嫌」
「え?じゃぁドコならいい?」
まさか乗って来るとは思わなかった颯真は少しビックリした。それでも彗星はよっぽど触りたいのかキラキラした目で見ていた。

「そんな触りたいのか?」
「なんか凄い触り心地良さそう、セットしてみたい」
にこーっと笑えば颯真はカーッと赤くなった。ふわりふわり揺れる銀色に手をやる彗星にジッとそれを見ていると彗星と目が合った



「ん?」
「いや…別に」
「じゃぁどうしようかな?今日一緒に遊ぶ?」
「え?」
「その後泊まってもいいし、」
「泊まる!!?」
カッカッと赤くなった颯真に彗星は気づかず「うん、明日休みだし泊まった後に遊ぶのも有りだと思うし」うんそうしようと笑う彗星に颯真は流されっぱなしだ

「じゃぁ今日、俺の家に来て」
「え!?」
「なんか楽しみー俺ン家来んの黎人くらいだから、そうちゃん来てくれて嬉しい」
にぱーっと笑えばキラキラ銀色が光り後ろの男子はもうノックダウン中だ。

拒否権を失った颯真は耳まで真っ赤にし「うん」と言った。



「じゃぁ今日一緒に帰ろーな」
颯真は帰ろーな帰ろーなと何度もリピートされ硬直している
ふわりふわり揺れる銀色にドキドキと胸が高鳴る




「ほーきっ!!!!また誑し込んで!」
「なにしに来たの黎人、つーか誑し込んでんのはお前だ」
彗星と颯真の間を割って入るように座った。颯真は一瞬ムッとした顔をしたのを確認して彗星に顔を近づける黎人に颯真は慌ててそっぽを向いた。


「はい、体操服。んでセットよろしく」
「ありがと、今日彼女と遊ぶの?」
「そー14人目の」

「最悪、そうちゃんも何とか言ってやって」
いきなり回されて反応に困る颯真に黎人はニコッと笑った。その顔が颯真をまたイライラさせた


「コイツ本当に節操無しだから近づくなよ?」
「俺は綺麗な子が大好物なの」
「さーいあくだよ、コイツ。そうちゃん今日の体育一緒にやろーな」

「え?うん」
ワックスを片手にセットしながら喋る彗星に颯真はジッと見ていた。クシを銜え真剣にセットする彗星は何だか色っぽい


「ん、出来た」
「サンキュ彗星」
「まぁ頑張れよ」
「今日はお前ん家いかねーから」
「呼んでねえよ、今日はそうちゃん泊まりに来んもん」
にーっと笑い肩を組む彗星に颯真は驚き声が出ない。そもそも颯真は黎人を敵対視とまではいかないがあまりいい風に思っていないため複雑そうな顔をした


「そうちゃんだっけ?彗星寝相悪りぃから気ぃつけろよ」
そう言って黎人は教室を出て行った


「俺、そんな寝相悪くねーし」
「そんなの俺に聞かれても困る」
「うーん、まぁそうだけど」
少し不機嫌な彼に彗星はクエスチョンマークを浮かべ顔を覗くとばっとそらされた




「(…俺なんか悪い事言った?)」




天然と女王様とタラシ
(これが無自覚なんて思えるか!)




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