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有機物



今日はたまたま理科の実験だった。
理科は好きでもないし、嫌いでもない。得意かと言われるとそうでもなくて、苦手な訳でもない。
多分、私は凹凸のない人間だ。表面に何もない、一番出来の良いようで、一番の出来損ない。職人の心が籠った一品じゃなくて、工場で大量生産された型通りの品。
何もかも、どちらでもない。一般的なものばかりをセレクトした大量生産品と全くの同じだ。魅力はない。言うなればその普通さと一般さが魅力。

「変わってるって、言われない?」

突拍子もない一言に、思わず思い切り顔をしかめた。
同じ実験班の彼とは親交がない訳ではないけど、今まで二言三言交わしたぐらい。流石のモラルがあれば、そんな人にそんな事聞かないだろうと胸中で悪態を吐きつつ、普通に笑って見せた。
三日月のように弧を描いた口からは、今にも毒が吐き出そうだ。それを考えると益々自分に嘲笑を零して、気持ち悪さに口の端をつり上げた。

「鳳君が初めて、変わってるなんて。」

「あ…、ごめん失礼な意味で言ったんじゃなくて、」

善良なる心を持った彼は私が気分を害したかと思ったらしく、狼狽し始めた。勿論そんなつもりはなかったから、うん、と一言。加えて、いつも通りの普通の笑み。
普通普通と言ったって実際そんなもの無いから結局なんなのかと問いたいけど。私は普通多用型人間だから。

「その、実験の時に雰囲気変わってるなと思って。ほら、えっと、」

「火でしょ?」

言うのを躊躇う鳳君にサラリと言ってしまえば、少し茫然としていたけれど、また直ぐにこくこくと頭を上下に振り出した。
そう、火。実験に使う火。
全てを焼き尽くす、人間を塵にする、土へ返す、炎。

「人間って、燃えるでしょ、だから火に触れたらどんどん火が身体を蝕んで、消えられるのにって、それで見てたの。」

淡々と話すと鳳君は少し驚いたようだったけれど、暫くの沈黙の後口を開いた。

「……そういう願望、あるの?」

妙に深刻そうな口調に思わず吹き出しそうになった。鳳君は何だかこうよく意表を突いてくる。
さり気なく私からマッチ箱を遠ざける辺りが、無駄に不安そうで何だかおかしかった。何も私は放火魔ではないし、そんな発言もしてはいないのに。

「…例えば、痒いと掻きたくなる、横になると眠くなる、それと同じで血が出るともっと出したくなる。人間は有機物だから、火を見ると燃やしてみたくなる。そういうこと。」

わざとニッと笑えば、鳳君は不気味そうに、且つ不思議そうに、私の事を丸い瞳で見つめていた。だって、貴方のその目も燃えて無くなるのよ、鳳君。貴方の身体も燃えるのよ鳳君。
そうして私は、マッチに火をつけた。

有機物
(燃えるよ)(消えるよ)



何書きたかったんだろう。
すごい駄文だわ…。
変な感じ……orz






あきゅろす。
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