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愛哀
 





私は芸術である。かく言うのも、サソリ様がおっしゃるにはであって、自らそう自負する程私は自画自賛する人間ではない。何処がどう芸術なのかは、サソリ様は口になさらない。ただ、私と初めて会った時から私を芸術だとおっしゃられた。サソリ様のような方にそう言って頂けるのは、至極幸福である。やっぱりサソリ様はお力も持つ上芸術センスもある。所謂文武両道のようなもので、私がそのサソリ様の芸術に干渉しよう等、ましてやそれを理解しよう等、おこがましいにも程がある。身の程知らずだ。

「お前は何時も美しいな。」

そう言って下さるサソリ様の方がお美しいなんてもっと言えない。それでも、サソリ様のお素顔は美しく麗しく、何時もポーカーフェイスだ。嗚呼、なんて綺麗なんでしょう。勿論これも殿方であるサソリ様には言えない。ただ、綺麗なだけでなく凛々しくもある。サソリ様が私の髪の毛を撫でる時や、接吻して下さる時、サソリ様がいつもより近付くのだ。恥ずかしさが込み上げるようで、照れ臭いようで、そんな中ちらと見たサソリ様はやはり凛々しく麗しく、例えサソリ様が芸術と称された私でも、絶対に敵わないだろうと思った。敵えない。それが必然なのだ。何故なら、サソリ様は私からすれば雲の上遥か天空のお方。私なんかと比べるのは甚だ間違いで、それならデイダラさんやイタチさんや飛段さんと比べられた方が妥当と言うものである。暁の皆さんは素敵な方ばかりだけど、でも、やっぱり一番はサソリ様だ。サソリ様は、お強くお美しくお優しい。なかなか笑って下さらないけど、微笑って下さった時、あのお顔は正直反則でしかない。しかも、そのお顔で頭を撫でられると尚の事私の心臓は止まらない。苦しいような幸せなような、そんな心臓の感覚が堪らなく心地よい。結局サソリ様が笑ったお顔が、一番好きなのだ。
それでも、たまにサソリ様はご機嫌が悪い時がある。そんな時は大抵、元々赤髪の髪の毛に大量にべっとりと赤い液体がついている時だ。さらさらの柔らかいサソリ様の髪の毛に誰がこんな、と怒りさえ覚える。普通に考えて、サソリ様の任務の相手対象であるのだけれど、そんな知らない亡くなった人間さえ、恨めしい。それぐらい、サソリ様は不機嫌でお帰りになる。そんな時、サソリ様のその苛立ちの発散に貢献するのは私だ。寧ろ、私しかないと言っても過言ではない。それは暴力だったり、性的なものであったり。大抵は暴力だけれど、痛くて辛くて苦しくて死すら覚えるけれど、それでも私は構わない。サソリ様の為、サソリ様がそれで少しでもお楽になれるのなら。サソリ様から受ける暴力ならば、寧ろ私は幸福である。首を締められても、髪を引っ張られても、切られても、殴られても、噛まれても。そこには苦痛など存在しない。例え青痣が出来ようと肌が紫色に腫れ上ろうと、指の一本や二本がなくなろうと。私の呼吸が止まって、私の心臓が止まろうと。私は芸術である。何時までも美しく、醜い歪んだ顔なんてサソリ様の前に晒す事は出来ない。だって、サソリ様がそうするのは私だけ、私にしかしてくれない。言わば、サソリ様の愛情表現。勿論私もサソリ様を愛している。サソリ様が私を愛していると囁いて下さるように。





fin


あきゅろす。
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