夢を見る少女は
[花宮/夢主]「君の誕生日」
1月12日。今日は幼馴染の誕生日。口が悪いし、態度も良いとは言えない。でも、ちゃんと優しい所もあるのを私は知っている。
『ねぇ、花宮?』
「うっせんだよ、バァーカ。」
『いやいや。会話になってないよ。』
何て、困っている様な口ぶりの私だが実際は違う。むしろ心地が良いくらい。花宮とはかなりの付き合いだが、性格上誤解されているだけで本当は良い奴なんだ。まぁ、これを友達に言うと「大丈夫?」ってしか返事が来ないんだが。
『今日って部活早く終われそう?』
「多分。」
『そっか。じゃあ私待ってるからさ。部活が終わったらすぐに校門の前に来てよね?ーーーほら、急がないと遅刻しちゃう!』
返事が無いって事は多分了解と言う事なんだろう。嫌なら嫌って突っかかってくるタイプだからな。そう私は思いながら学校に向かった。
「...おい。」
はっと顔を上げると待っていた彼が。練習着に軽くジャージを羽織っている所を見る限り、終わってから真っ直ぐ来てくれたのだろう。先程はまだ「16:00」と表されていた携帯の時計がもう「17:27」っと微妙な時間を知らせてくれている。
『思ったより早かったね。それじゃ、マジバでも行こう?渡したいものがあるんだ。』
「?俺にか?」
いつもならここで何か言ってくるはずだが...。何か今日の花宮大人しい。ってか大人しすぎない?これはもしやーーー。
『誕生日だって忘れているわね。』
マジバに着いて「コーヒー2つ」っと店員さんに話してから数分。コーヒーを間に私達は向き合って座っていた。気まずすぎる。はぁ、なんでこう言う時に文句の1つや2つ言わないかなぁ。いつも嫌ってほど話すくせに。
『あのさ、』
「そういや、」
何で変に息が合うかな。全く。
「...先言えよ。」
『えっと。大した物じゃないけど、受け取ってくれる?』
「やっぱりか。サンキューな。」
やっぱり誕生日だって忘れてたのか、さっきまで。それよりも、だ。花宮今何て?
「って、言うとでも思ってか?バァーカ。ちょっとこっち来い。」
顔の前でおいでおいでってする花宮。可愛い、じゃなく何だよまったく。首を傾げながらも私は花宮の方に顔を近づけた。ーーーそれが間違いだった。
「ふっは、顔赤いし。まぁこれがお礼だ。」
そう言った彼を私は直視できなかった。
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