夢を見る少女は
[赤緑]クリスマスの日は(1)
「赤司はどこなのだよ」
誰に言うでもなく、俺は一人そう呟いた。
急に俺を呼び出したのは、中学時代の我らがキャプテン、赤司征十郎。しかし、待ち合わせの10時を過ぎても姿が見えない。
一分一秒でも遅れないように...そう思い着いたのが約束の一時間前。さすがに早いが、赤司に機嫌を悪くされたら困る。ちなみに、事前に確認したがキセキの世代の集まりではないようだ。
「連絡してみようか」
一人そう呟くと、口元の空気が白くなる。ポケットから携帯を出して「新着一件」の文字が見える。
「まさか!」
慌てて落とすところだった携帯をそっと開く。
『すまない真太郎。僕の事情で十五分近く遅れる。体を冷やすのは悪い。寒くないところで待っててくれ。』
現れたのは謝罪の文。
赤司の言う用事だ。きっと今いる高校の問題等で色々忙しいのだろう。
「分かったのだよ。近くに○○っという店があるのでそこで待ってるのだよ」
...っとこんな感じでいいか。
しかし、赤司が遅れるなんてな。百人を超える部員を赤司が主将、俺が副主将を勤め上げて分かったことがある。
性格や態度、年のわりには子供らしくない大人びた話し方...。大人さえも従ってしまうという、不思議な感じのやつだ。そんな赤司に文句を言わずついて来れたのはどうしてだろう?たまにふっと思う。
「あいつにはかなわないのだよ」
いつも誰よりも早く来て朝練をして、誰よりも遅く自主練をしてる。誰もいない早朝の体育館で、その日のメニューをやる。そして、それに満足すれば部活の時にする。
実は誰よりも頑張っていた。他人に厳しく、自分にはもっと厳しく。そういう赤司だからこそ、俺は安心して付いて来れたのだろうか。
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